日本人は「不妊治療のリスク」を知らなすぎる

不妊治療の成功率は「世界で最下位」

日本は不妊治療による出産率が低いという現実があります(撮影:今井康一)

日本は不妊治療を受けている患者数が世界第1位にもかかわらず、その治療による出産率が世界最下位――。そう知っている人はいったいどれだけいるだろうか。

日本における不妊治療、生殖補助医療は始まってからまだ歴史が浅く、進んでいるとはいえない面がある。記事「成功率低すぎ!日本の不妊治療の残念な実態」と「日本の不妊治療の現場に関する『2つの不安』」でも取り上げてきたが、サイエンスの視点からいえば、生殖補助医療と先天異常には「因果関係がない、安全である」と言い切ることは、極めて困難である。逆に「因果関係が否定できないから、安全とは言い切れない」ということを証明するほうが簡単なことなのである。

不妊治療に関するシリーズ最終回の今回。実際にいくつかのクリニックで不妊治療を受けた人の声を挙げながら、日本の生殖補助医療が抱える問題点について考えてみたい。

不安はつねに付きまとっていた

「自分は20代でまだ若いし、当然、健常児が生まれると思っていました。不妊治療を受けたクリニックのドクターたちも『顕微授精は安全です。元気な子がたくさん生まれていますよ』と、リスクはまったくないとおっしゃっていました。でも、夫の精子が少なくて動きも悪いと言われていたので、どこかで『そんなに悪い精子を卵子に入れて、無理やり受精させても大丈夫なのだろうか?』という不安はつねに付きまとっていたんです」

そう語るのは30代半ばのAさん。その不安が現実になったのが、6年前のことだった。出産時、Aさんはつらい現実に直面する。生まれた子どもは誕生してすぐに、心臓の手術をしなくてはならなかったのだ。

手術は無事成功し、健康になったと安心していたAさんにその後、医師からさらなる衝撃の説明があった。

「精神遅延を指摘されたのです。月日が流れ、子どもが成長していく過程で、ただ言葉の発育が遅いだけかと思っていたのですが、精神遅延が指摘され、発達障害とも診断されて、目の前が真っ暗になりました」

Aさんは、現在も子どもから目を離すことができないという。

もし、不妊治療によって染色体異常児が生まれたとしても、医療過誤などのケースとは違い、直接的な関連性を実証するのは非常に難しい。筆者はある医師から、「因果関係が実証できないのだから、問題が起きても逃げればいい」と発言している医師もいると聞いて驚愕したこともある。

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1976年に創業し、90年代の渋カジブームを牽引したビームスが今も元気だ。創業以来赤字知らず。40年、最先端を走り続けられる秘密は何か。設楽洋社長への独占インタビューを掲載。