「投資ビリギャル」が年15%利益を出せる理由 たった3年の株歴で、プロ顔負けの技を習得

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彼女は出会ったばかりの坂本氏に、周りから「真剣すぎて顔が怖かった」と言われるほど矢継ぎ早に質問をぶつけた。その中には、坂本氏が株式取引をするうえでいちばん重要だと考えている「板読み」の質問も含まれていたという。

株価は、売りと買いの強さの綱引き、需給で決まるが、その売りと買いの情報を知ることができるのが“板”だ。縦に「呼び値」ごとに並ぶ株価を挟んで、左側に売りの枚数、右側に買いの枚数がリアルタイムで表示される。基本的に、買いの枚数が多く、売りの枚数が少ない銘柄の株価は上昇しやすく、その逆に、売りが多く、買いが少ない銘柄の株価は下落しやすいと言われる。

各証券会社が提供しているツールで誰もが見られるものの、見方がわからないためにただ眺めている投資家が多いのが現実だ。

坂本氏は「日本の証券市場は、東京証券取引所に大半の商いが集中しているため、ほぼすべての需給を板で見ることができる。しかも、株価がつく前の気配を見られるので、チャートよりも早く株価の動向がわかる。株価を先読みできる板を活用しなくてはもったいない」と話す。

板読みで取引タイミングを見極めるコツがわかってきた

では、具体的にどのように活用すればいいのだろうか。

まず、取引をするタイミングを見極めるコツは、「板の買いが厚くなってきたとき」だという。

「投資にはリスクがつきものだ。マイナスになることも受け入れながら取引する必要がある。しかし、そのマイナスを少額に抑えられれば、利益が残る。株を買った後に想定した動きをしないことはよくあるが、すぐに手仕舞える銘柄を取引すればいいこと。買いが厚い銘柄は、「買いたいと思っている人が多くいる銘柄だから、『投げやすい銘柄』でもある。板を見ていて、買いの板が厚くなってきたら買ってみる。よく、素早い損切りが大事だというが、損切りできる板の銘柄を取引することのほうがもっと重要。株式取引はリスクヘッジが基本だから」と話す。

もちろん、板はリアルタイムに変化するため、再現性はない。しかし、「日々、意識して板を見てケーススタディを積み上げれば、板の向こうにいる投資家の動きを俯瞰できるようになる。その結果、株価の先読みができるようになる」と言う。

星野さんも、板読みを覚えたことで驚くほど失敗が減ったそうだ。特に、「大きな損をしなくなった。板を見ることで、これまで損をしそうだと感覚的に感じていた値動きを論理的に考えられるようになった。たとえば、継続的に入っていた注文がピタッと止まってしまうときがある。たぶん、多くの投資家がパソコンの前で買うのを躊躇し始めているのだと思う。動きに勢いがなくなり、その後、株価が下落していくことも多いから、勢いがなくなってきたところですぐに逃げるようにしている。もともと速かった逃げ足が、さらに倍速で速くなった」と笑う。

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