スズキの“隠れたドル箱”「キャリイ」の進化 日産、マツダ、三菱自にOEM供給も

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軽商用車の再編進む

今回の新型キャリイの発表にあたっては、初代のキャリイも展示された。実は、この初代キャリイの生産に深くかかわったのが、鈴木会長兼社長だ。「私が入社して2年目、30歳のころに初代キャリイを製造する工場建設委員長を任せられた。今日でも工場の監査などをしているが、そのときの経験がプラスになっている」。鈴木会長がモノづくりの大変さを学んだのが初代キャリイであり、経営者としての原点がある。

新型「キャリイ」の発表会で展示された初代モデル

また、今回の新型キャリイ発表を機に、スズキは日産自動車やマツダ、三菱自動車にキャリイをOEM(相手先ブランドによる生産)供給する。三菱自はこれを機に、自社のガソリンエンジン軽商用車(EVベース除く)の開発、生産から事実上、撤退する。2012年には富士重工業(車名ブランド・スバル)も軽商用車「スバル・サンバー」の生産をやめ、ダイハツ工業からのOEM供給を受けるなど、軽商用車をめぐり再編が進んできた。

採算性が厳しいとされる軽商用車。各社とも収益性の高い車作りへとシフトするなか、軽トラックのトップとして、スズキは「地方の足」を守り続けていく。

又吉 龍吾 東洋経済 記者

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またよし りゅうご / Ryugo Matayoshi

2011年4月に東洋経済新報社入社。これまで小売り(主にコンビニ)、外食、自動車などの業界を担当。現在は統括編集部で企業記事の編集に従事する傍ら、外食業界(主に回転ずし)を担当。趣味はスポーツ観戦(野球、プロレス、ボートレース)と将棋。

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