移民排除政策でテロを防ぐことは不可能だ

移民を受け入れるしか抑止策はない

バルセロナで起こったような暴力事件を防ぐにはどういう対策が必要なのか(写真:Susana Vera/ロイター)

スペインの反テロ法は、欧州で最も厳しいものだ。同国の移民政策は制限的であり、国境の蛇腹形鉄条網は恐ろしいものだ。しかし、これらのことは、若い男性のムスリム移民 ― 彼らはモロッコ生まれだったり、モロッコ出身の移民のもとスペインで生まれていた ― の集団が、8月17日に近隣住民に暴力的に襲いかかるのを抑えられなかった。バルセロナ周辺で起きたこの一連の暴力事件では、15人が殺害された。

どのようにして、そしてなぜ、犯行グループが急進化したのかについては、私たちはまだ多くを知ることはできない。しかし、彼らはスペインで必要とされていないと感じていたようだ。

伝統的な警備対策で暴力を排除できない

アリカンテ大学の社会学者、フランシスコ・ザビエル・ウリャン・デラ・ローザ氏が2016年に発表した研究論文によると、彼女が20年間調査を大成った結果、「スペインにおける文化的に異なる人々に対する拒絶」は、北アフリカや中東からのスペインへの移民の大多数を形成するモロッコ人に向けられる傾向にあることを示している。

単に移民制限を強化したり、伝統的な警備対策(監視の拡大や国外追放の迅速化、街頭への軍人の配備)を増やしたりすることでは、将来における類似の暴力を排除できそうにない。欧州諸国では新しい暴力事件が起きるたびに反射的にそのような手段がとられているが、過激派たちはどっちみちまた暴力を振るうのである。

一方、移民や難民を社会の一員として受け入れる努力をすることによって、おそらく大きな効果をあげることができる。移民は当面、欧州おいて永続的に続く話であり、新たな参入者は健康的な社会を育むために必要な存在だ。

スペインのモロッコ人の例のように、欧州は、経済的かつ社会的に孤立した地域からの移民や難民を、行き着いた社会で活躍できるように促す試みを拡大しなければならない。統合がすでに安全保障政策の一部となっている北欧の、いくつかの革新的な計画が、その方法を示してくれている。

スペインの暴行事件の犯人たちは、ニースやロンドン、そのほかの欧州の都市の犯人たちと同様、イスラム国(IS)の工作員ではなく、20代の若い武闘派であり、大多数は権利を奪われた移民コミュニティに属する欧州出身者だった。

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