「経済は成長しなければならない」は正しいか

「ル・モンド紙」論説委員が語る21世紀の危機

経済は限りなく成長するという約束が当てにならないものになるのなら、社会はいったいどうなるのでしょうか(写真 : gandhi / PIXTA)
私たちは無限の欲望という「呪い」から逃れられるのか。
経済成長なき産業革命の時代でも進歩はありうるのか。
トマ・ピケティ、ジャック・アタリと並ぶ欧州最強の知性が、このほど『経済成長という呪い――欲望と進歩の人類史』を上梓した。本稿では、人類史という壮大なアプローチから、“閉じてゆく”21世紀世界を読み解く視点を提示する。

他の誰かがもっているものを欲しがる存在

『経済成長という呪い――欲望と進歩の人類史』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします)

現代の宗教ともいえる経済成長は、人々の衝突を和らげ、無限の進歩を約束する妙薬だ。

人々は自分にはないものを欲しがる。そのような人々の暮らしにおけるありふれた惨事を解決してくれるのが経済成長だ。ところが残念なことに、少なくとも西洋諸国では経済成長は断続的ではかないものにすぎない……。

バブルの後には大恐慌、大恐慌の後にはバブルが発生する。政治家は、雨乞いをする呪術師のように天を仰いで経済成長を願う。彼らは経済成長の期待を裏切ると、国民の恨みを買う羽目になるからだ。

しかしながら現代社会では、スケープゴートを見つけようとするだけで、本質的な疑問に関する議論は避けられる。すなわち、次のような疑問だ。

経済は限りなく成長するという約束が当てにならないものになるのなら、社会はいったいどうなるのか、人々は経済成長以外に自分たちを満足させられるものを見つけられるのか、それとも人々の間に失望と暴力が蔓延するようになるのか、という疑問だ。

星は神の住処ではなく、宇宙は空っぽな空間だとガリレオ・ガリレイとヨハネス・ケプラーが発見した17世紀、ヨーロッパの人々は精神的な苦悩にさいなまれた。歴史家たちはこの苦悩を称して、「ヨーロッパは精神性の危機に陥った」と語った。

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