「大人の武者修行」に経営人材を送る理由 即効で優良企業のDNAやスキルを吸収

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「『大人の武者修行』では、自社とは異なる業種の企業を受け入れ先に選ぶ方が多いと聞きましたが、私は自動車販売についてあまり知らないこともあり、あえて同業を選びました。自動車販売におけるサービスの極意を、有名な河村将博社長に直接教わりたいと考えたのです」と津山さんは受け入れ先選択の理由を語る。

地方の活性化にもつながる新たな仕組みに期待

「大人の武者修行」に参加するにあたって、津山さんがもう一つ学びたいと考えていたことあるという。

「リーダーシップです。店舗のスタッフという立場なら、目の前の仕事をこなしていればいいのですが、経営者は会社の方向を示し、チームで目標に向かって行動できるようにならなければなりません」

カワムラモータースでの武者修行は2017年1月末からの2週間。その初日に、津山さんはいきなり洗礼を受けることになる。

「河村社長から開口一番『利益よりも先に5S(整理・整頓・清掃・清潔・しつけ)』と言われました。ほとんどの会社が、まず利益を出してからこれらに取り組もうとします。順序が逆なのです。それにカワムラモータースでは、どの社員も会議で積極的に発言しているのが印象的でした。若手社員の意見であったとしても、ベテラン社員がそれを素直に受け入れる風土があり、とても驚きました」

そんな津山さんに、河村氏は毎日短いときでも2時間、時には半日かけてリーダーに求められる考え方や行動を教えてくれたという。

「河村社長は、仕事のことを考えない日はほとんどない、忘れられるのは1年にわずか数日だそうです。その多忙な中で貴重な時間を割いて教えてくれることに感銘を受けるとともに、その思いに応えなければと痛感しました」と津山さんは語る。

「大人の武者修行」では、修行者を受け入れてくれる企業に研修費が支払われる。だが、たとえ修行者が一緒に働くとはいえ、費用対効果で考えると決して利益になるような額ではない。河村氏のように、取り組みに賛同し、志高く修行者を受け入れてくれる企業が「大人の武者修行」を支えているのだ。

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