トヨタ「時間に縛られない」新勤務形態の狙い

裁量労働に近いがちょっと違う絶妙な仕組み

日本を代表する企業が独自の「働き方改革」を進めようとしている(撮影:尾形 文繁)

トヨタ自動車が事務職や技術職の係長クラス以上を対象に、始業・就業時間を社員個人の判断で柔軟に決めて働ける新しい勤務形態の導入を検討していることを、今月はじめに複数のメディアが報じた。

「働き方改革」の決め手がなかなか見いだせていない中、独自の仕組みによって先陣を切ろうとするトヨタの動きは、厳しい国際競争の最前線にいるグローバル企業として、当然の動きなのかもしれない。

もともとトヨタは裁量労働制を導入している。一般的に裁量労働制とは、日々の実労働時間が何時間であったかにかかわらず、あらかじめ労使で合意された時間を働いたものと「見なす」という仕組みである。給料は残業代を含めて一定であったり、時間管理をしなかったりするケースも少なくない。

今回、トヨタが導入を検討している新制度は裁量労働制にかなり近いが、ちょっと違う。現状のフレックスタイム制をベースに組み立てる制度で、今年12月以降の導入を目指し、労働組合と協議を進めている。

一定以上の能力や希望などの承認が必要

時間管理を明確にし、あらかじめ決められた上限時間を超えた分については、超過勤務手当を支払う。係長職以上の全員へ一斉に導入とはならず、一定以上の自己管理・業務遂行能力を持つ本人の希望とともに、所属長、人事部門の承認があってはじめて対象となる。

トヨタが検討している新しい勤務形態には4つのポイントがある。まず時間に縛られない働き方を認めつつも、残業代の払い漏れが起きないような仕組みになっているということだ。

トヨタは現在、月の残業時間の上限を45時間とする36協定を労使で結んでいる。この前提条件において、会社は、新制度の対象となる社員に対して、45時間分の「みなし残業代」を支払うということである。「36協定の上限=みなし残業代」という等式が成り立つ。

また、45時間というのは、これを超える残業が続くと過労死リスクが高まるという、いわゆる「過労死ライン」の入口に当たる。つまり、残業可能な上限である月45時間までをカバーする「みなし残業代」が固定的に支払われるので、社員が自由裁量で働いても、イレギュラーな長時間労働が発生しない限り、残業代の払い漏れは生じない仕組みになっている。

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