アウディ、日産が、ゲームに広告を出す理由 自動車メーカー、ゲームで未来の顧客獲得目指す

拡大
縮小

プロダクト・プレイスメント

プライスウォーターハウス・クーパース(PwC)は、ゲーム内広告は今年、世界全体で28億ドル規模になると試算。自動車メーカーは、ゲームの方が映画より安価で、ゲーム開発者に車のスペック情報を提供することでライセンス料を集めることもできるとしている。

ゲーム業界のアナリスト、ブライアン・ブラウ氏は、自社の車がゲームのパッケージに使用されたり、ストーリーに深く溶け込んでいれば、自動車メーカーは100万ドル規模の出費はいとわないとの見方を示す。「広告主は、こういった夢中になれるようなテクノロジーに大きな関心を寄せている」という。

また自動車メーカーは、若者の需要を刺激する必要がある。

欧州最大の自動車市場ドイツでは、新車販売全体に占める21─39歳のシェアは2009年から毎年減少し、19.8%から16.2%にまで落ち込んでいる。

しかし、車の販売台数が約300万台で頭打ちとなる一方、ビデオゲームの販売は3年連続で増加。また、定期的にゲームで遊ぶドイツ人2600万人の4分の1以上は、税引き後の月収が3000ユーロ超と平均以上の収入を得ていることも見逃せない。

自動車メーカーにとって、このことは顧客層の拡大を意味しており、専門家もゲーム内のプロダクト・プレイスメントは、ブランドのPRには非常に効果的なツールだと声をそろえる。

米ゲーム大手エレクトロニック・アーツのデイブ・マッデン氏は、「ゲームは人を引き付け、最大限の集中を要する環境を与える。それに比べ、テレビでスーパーボウルを見ている場合は、フェイスブックやツイッターに投稿するなどしてマルチタスクになる」とゲームの利点を挙げた。

(原文執筆:Christiaan Hetzner記者 Harro Ten Wolde記者、翻訳:野村宏之、編集:宮井伸明)

関連記事
トピックボードAD
マーケットの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT