相次ぐ廃止・減便、露呈した“余剰空港”

相次ぐ廃止・減便、露呈した“余剰空港”

未曾有の燃料高を受け、日本航空(JAL)と全日本空輸(ANA)が過去最多規模で地方路線の廃止・減便に乗り出している。JALは国内・国際線合計で19、ANAも10以上の路線で廃止・減便を予定。今年度初めにもJALが3路線の廃止・減便、ANAが13路線の廃止・減便を決定していたが、これに今回の追加分を加えると両社合計で50路線近くも廃止・減便される計算だ。かつては地元に配慮してリストラに二の足を踏んできた両社だが、今回は「不退転の決意」。国内線の参入・撤退が原則自由化されて8年余り。不採算路線がようやくあぶり出されると同時に、全国100近くもひしめく地方空港の存廃が厳しく問われ始めている。

JAL撤退の福島空港 赤字膨らみ存続危機に

JALが撤退を決めた福島空港。同社は1993年の開港時から就航してきたが、あっさりと縁を切った。関西、伊丹、那覇に3路線を飛ばすが、平均50%台と「びっくりするような低い搭乗率」(西松遙社長)。同社はこれまでも撤退時期を探っていたが、今回、燃料高という説得材料を手に入れたことで、不採算路線から逃れることができた格好だ。

一方の福島空港は存続すら危うい。年間収支をみると、昨年度は収入1億8100万円に対し、支出が5億円。累積赤字は数十億円に上るとみられる。JALが撤退すれば、収入源の着陸料は4割近くも減り、来年度以降さらに赤字額が膨らむのは確実だ。「民間企業なら倒産している」と関係者はささやく。

これは極端な例ではない。全国の地方空港は多くが赤字に陥っている。「一県一空港」の掛け声の下、空港建設に重点を置く一方、収支は二の次だったためだ。来年3月にも富士山静岡空港、再来年3月には茨城空港も開港する。だが、静岡空港はJALとANAの両社が搭乗率100%になっても、県の需要予測の半分強がやっと。茨城空港では、「国内線がどこも決まらない」(薮中克一・県空港対策課長)のに開港予定だけが早々と決まった。

リストラの嵐は関西国際空港にも及ぶ。JALは今年4月に開設したばかりの仙台線を就航4カ月で早くも廃止検討する。今年度初め公表の事業計画では「関空路線の充実」をわざわざ掲げたほどだったが、それが一転、リストラ対象路線の半分は関空線で占める。関空に厳しい視線を向けるのはANAも同様だ。大阪府の橋下徹知事は「公共交通機関として配慮をお願いしたい」とANAの山元峯生社長に頭を下げたが、山元社長は「迷惑をかけるが理解してほしい」と撤回する様子がない。

関空は昨年8月に第2滑走路がオープンしたばかり。その条件となる需要見通しは年間発着回数が13万5000回以上だが、ハードルは極めて高い。関空には今なお1兆円以上もの負債が残ったままだ。

関空低迷の理由は同じ関西圏でのパイの奪い合いにほかならない。JALは同じ花巻空港発でも関空線を廃止する一方、伊丹線は残す方針。関空線の搭乗率が5割を下回るのに対し、都心に近い伊丹への路線は7割にも迫り高収益路線だからだ。同社の搭乗率ベスト1~3位をみても、伊丹-成田・那覇・新千歳と伊丹路線が独占。関空関係者は「伊丹は中近距離専用。長距離には使用しないことになったはず」と憤り、橋下知事からは伊丹廃止発言まで飛び出すが、関空の劣勢は明らかだ。JAL関係者は「伊丹発着は収益源。羽田発着もほぼすべて黒字。それ以外は赤字路線がほとんど」と指摘する。

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