失業率は2%台が定着、労働市場は着実に正常化へ
5月30日に公表された2017年4月の失業率は2.8%と前月と同水準となった。失業率は2月に1994年以来の3%を下回り、それが3カ月続いたことになる。4月10日コラム「『人余り』が解消、いよいよ賃金は上昇局面へ」では、失業率が単月でブレる可能性を述べたがそれは杞憂だったようで、早々に失業率2%台が定着しつつある。
求人状況を見ると4月の有効求人倍率は1.48倍と一段と改善して、バブル期を超え、1974年2月以来の高水準まで上昇した。求職活動の形態がより多様化する中で、ハローワークのデータを過去と単純に比較することはやや問題がある。ただ、失業率や求人状況はいずれも2017年に入ってから改善が続いていることは明らかで、労働市場は正常化に着実に向かっていると評価できる。
これまでのコラムでも繰り返し述べているが、2013年からレジーム(体制)が変わった日本銀行の金融緩和政策の効果でこうした労働市場の正常化が起きている。具体的には、2013年から180万人の新規雇用が生まれて失業が大きく減り、そして労働市場を含めた需給環境が改善している、ということである。
一方、同じ5月30日に発表された4月家計調査の家計支出が前年比-0.7%と前年水準を下回ったため、労働市場が改善しているが個人消費は停滞しているなどの声もある。
だが、家計調査統計は、自動車などの高額商品によって変動するので、ヘッドラインの数字で評価するのは妥当ではない。自動車などを除いたベースでは4月消費支出は前月比+3.5%と、低調だった前月(-2.9%)から持ち直している。また、企業側への調査である小売売り上げも4月は前年比+3.2%と底堅く伸びた。
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