イオン、株主に誓った「打倒ユニクロ・ニトリ」 不振が続く衣料・家具の販売を立て直せるか

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衣料ではファッション品よりも下着などの実用品に重点を置きながらも、「ニーズの大きいバッグや靴、アクセサリーにも注力する」(岡田社長)。高単価の服飾品の売り上げ構成比を高めることで、粗利額の増加を目指す。

住居関連の課題は、「ホームコーディ」と名付けたPBの拡販だ。従来は寝具の東京西川などのメーカー品が売り上げの中心だったが、自社で開発・製造することで高い粗利率を維持しやすいPBの比率向上を急ぐ。

中期計画の利益目標を初めて発表

岡田社長は方針説明の最後に、2020年2月期までの中期経営計画の業績目標を発表した。グループ全体の営業収益は昨年度から約1.3兆円増の9.5兆円、営業利益は同約1000億円増の2900億円を目指すという。

1カ月前の中計発表時点で数値目標が何ら示されなかったことを考えれば、今回の方針説明によって計画の具体性が増したと言える。

ただ、事業ごとの目標は示されず、先行きは依然として不透明だ。ニトリに匹敵するという住居関連品の売上高に医薬品・化粧品が含まれているなど、今回の岡田社長の説明にはやや説得力に欠ける部分もあった。さらに一歩踏み込んだ具体策の発表が待たれる。

質疑応答の時間に、ある男性の株主に営業利益率の長期目標を尋ねられた岡田社長は、「最終的には5%を確保しなければならない。まだまだ多くのステップを踏む必要がある」と答えた。昨年度の営業利益率は2.2%にとどまる。イオンは、今から2倍以上の利益成長をなしとげ、株主との約束を果たせるか。

中山 一貴 東洋経済 記者

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なかやま かずき / Kazuki Nakayama

趣味はTwitter(@overk0823)。1991年生まれ。東京外国語大学中国語専攻卒。在学中に北京師範大学文学部へ留学。2015年、東洋経済新報社に入社。食品・小売り業界の担当記者や『会社四季報 業界地図』編集長、『週刊東洋経済』編集部、『会社四季報』編集部、「会社四季報オンライン」編集部、『米国会社四季報』編集長などを経て2023年10月から東洋経済編集部(マーケティング担当、編集者)。「財新・東洋経済スタジオ」スタッフを兼任。

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