80代オスカー俳優集結「ジーサンズ」の奥深さ 東洋経済オンライン読者限定試写会を開催!

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そして心配性で気難しいモテジーサン、アルを演じるのが2006年の『リトル・ミス・サンシャイン』で、アカデミー賞助演男優賞を獲得したアラン・アーキン。1963年の舞台「Enter Laughing」でトニー賞を獲得したのをはじめ、舞台俳優として高い評価を受けていた彼は、1966年に映画デビュー作となる『アメリカ上陸作戦』に出演。いきなりアカデミー賞主演男優賞にノミネートされるなど、舞台・映画の両分野で尊敬されてきた。また、作家としても『レミング物語』『カウンセリング熊』などを発表、さらにミュージシャンとしての顔も持つなど、マルチな才能で人々を魅了している。

その他、アカデミー賞ノミネート経験者のアン=マーグレットやマット・ディロン、さらには『バック・トゥ・ザ・フューチャー』(1985年、1989年、1990年)のドク役で有名な、クリストファー・ロイドたちが脇を固めている。

展開や結末をオリジナル版から大胆に変更

年金の支給停止をきっかけに、銀行強盗に挑戦するべく“特訓”をはじめる (C)2017 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC

本作は、『ビバリーヒルズ・コップ』(1984年、1987年、1994年)、『セント・オブ・ウーマン/夢の香り』(1992年)などで知られる、名匠マーティン・ブレスト監督の『お達者コメディ/シルバー・ギャング』(1979年)のリメーク版。「退屈な毎日に刺激が欲しい」と銀行強盗に挑んだ老人たちの奮闘を、コミカルながらも哀愁を交えて描き出していた。オリジナル版が発表された1979年はジミー・カーター大統領の政権下で、不況が米国内を覆っていた時代。世間から見れば何者でもないと見なされてしまいがちな男たちだが、生きている間になんとか自分のつめ跡を残そうとする姿が印象的な作品だった。

そんなリバイバル作品を、結末も含めて現代風にアップデートしたのが本作品だ。脚本を担当したのは、本年度アカデミー賞3部門にノミネートされた『ドリーム:私たちのアポロ計画』(『原題:Hidden Figures』・9月日本公開予定)のセオドア・メルフィ。オリジナル版にあったユーモア、男同士の友情といった要素は残しつつも、「オリジナル版では強盗後のことに焦点が当たっていたが、この映画ではもっとアクションを盛り込み、銀行強盗のシーンをストーリーの中心に据えた」と、メルフィ氏は語る。

さらに“晩年のロマンス”を描くなど、挑戦的なテーマも作品の中に織り込んでいる。本作のメガホンを取ったザック・ブラフ監督も「メルフィの脚本にはたくさんの愉快なひねりや予想外の展開がある。彼はすばらしいストーリーテラーだ」と称賛する。

プロデューサーのドナルド・デ・ライン氏は「通常のリメークとは違いますが、時代を超えて通用する設定を、現代の視点で描いています」と語る。

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