日本女性は、なぜ異常に外見にこだわるのか フランス人から見るとそのままでキレイだ

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20代半ばでフランスに帰国してからはメークをする生活に戻った。自分のルックスを磨きたくなり、アイシャドウの塗り方や、ファンデーションの選び方などが習えるメークの個人レッスンまで受けた。化粧上手な日本人の友達にいろいろなアドバイスを受けたり、彼女にたくさんのメーク用品をもらったりもした。

そして、30代に近づく頃、ミニマリズムへのあこがれに負けてしまい、そして化粧品に含まれる化学薬品などが気になり始め、素顔とまではいかないまでも、かなりシンプルメークになった。そして、ママになった今、メークをする時間もエネルギーもないし、すっぴんでいることに違和感を感じない。

日本人のスキンケアへの並々ならぬこだわり

日本人が書いたフランス本を読むと、「ありのままのすっぴんマダムだからこそ、ムシューに愛されている」というようなことが書いてある。確かに、と思う部分もあれば、私のパートナーから「やっぱり化粧しているほうがいいな」というような指摘を受けることもたまにある。

フランス人のすっぴんにあこがれている日本人だが、私の印象では、これまで訪れた国の中で、日本はずば抜けて化粧やスキンケアにこだわっている国だと思う。

日本に住んでいるときは、電車でメークをしている女性や、私が働いていた県立高校の授業中、1時間だらだらとマスカラを塗り続ける女子高生を実際によく見た。また、日本のテレビ番組で見たメークレッスンも細かくて印象的だった。ほかの国で見たことない塗り方がいろいろあるのだと驚愕したものだ。

友人と温泉に行ったとき、「お風呂にこう浸かると、化粧ののりがよくなる」というスキンケアのアドバイスを受けたことがあるが、あまりの細かさに「誰がその違いに気がつくのかしら」と笑ってしまったこともある。

ただ、友人たちがメークをする様子を見て、日本人の精密さはメークにも表れるのかと感心した。まるで茶道のごとく、または芸術作品を作り上げるかのように丁寧に仕上げていく。たとえると、チベットの仏教徒が長時間かけて繊細に描き、数分足らずで消してしまう砂の曼陀羅のように、最終的な美だけが目標ではなく、作り上げるプロセスが大事なのだと感じた。

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