混迷極まるフジテレビ、「73歳新社長」の重責 大エースでも止められなかった視聴率の低迷

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フジは2015年度にゴールデン帯(19〜22時)の視聴率でTBSテレビに抜かれ4位に転落。2016年度も低迷し、テレビ東京が背後に迫る。テレビ単体の営業利益は、すでに最下位だ。

フジの苦戦が目立ち始めた当初、他局からは「それ見たことか」と揶揄する声もあった。だが、今では「フジの視聴率はあまりに厳しい。業界自体の存在感が下がらないか」との懸念すら聞こえてくる。

「現場が自由に制作できる環境を作る」

新体制について日枝会長は「現場が自由に制作できる環境を育てる。新会長、新社長は、自ら陣頭指揮を執り細かな指示を出す役割ではない」と強調した。

その意味で、宮内氏は適任なのかもしれない。同氏は現在73歳。編成畑を歩み、管理部門や経営企画も経験。その後8年間岡山放送の社長を務めたベテランだ。現在トップを務めるBSフジでは「編成と営業の総合力で売れるコンテンツを開発したい」と語っていた。制作者でない立場からフジを客観的に見られる人物といえる。

とはいえ、フジがやるべきは優れた番組を作り視聴者を引き付けること。その一点に尽きる。大エースの亀山社長ですら成し遂げられなかった課題を宮内氏はクリアできるのか。未曾有の危機の中、厳しい船出となりそうだ。

田邉 佳介 東洋経済 記者

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たなべ けいすけ / Keisuke Tanabe

2007年入社。流通業界や株式投資雑誌の編集部、モバイル、ネット、メディア、観光・ホテル、食品担当を経て、現在は物流や音楽業界を取材。

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