韓国で日本の「納豆」がブームになった理由 市場規模は直近の10年間で「10倍」に拡大

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韓国を代表する食品のキムチだが、ここ数年、若年層の間では「キムチ離れ」が進んでいるもようだ。先日も30代の男性会社員と昼食を共にして驚いた。なんと、キムチを水で洗ってから食べたのだ。そんな食べ方をしている人を初めて見たので、理由を聞いてみると、「もともと家でもそんなにキムチは食べないほうだし、外で韓国料理を食べるときも塩分が気になるので水で洗ってから食べるようにしています」と言う。

この会社員と食事をしていたのは、コムタン(牛のテールスープ)屋だった。大抵のコムタン屋ではテーブルには塩とコショウが置かれていて、客は好みに合わせて味付けして食べるが、彼はコショウは入れたが、塩は入れなかった。

韓国で年々高まる健康志向

20代など若者の間でも塩分を気にする人が増えているとは聞いていたが、それを目の当たりにした感じだった。確かに、韓国の人はもともと健康や美容志向が強いと思っていたが、男女問わず、年々、顕著になっているように感じる。

健康のために変わらず愛飲され続けているのが多種多様なお茶だ。利尿作用があり、二日酔いに効くといわれるケンポナシ(韓国ではホッケナムの名称)を煮出した「ホッケ茶」はここ数年、市販の商品も出回るほどの人気を得ていて、免疫力アップのためにナツメ、シナモン、ショウガを煮た「ナツメ茶」を作って冷蔵庫に常備する家も多い。

健康によいといわれる朝鮮半島の伝統醸造酒「マッコリ」は特に女性から人気だ。乳酸菌が豊富でタンパク質やビタミン類に富み、アンチエージングにも効果があるといわれていて、そうした観点から好んで飲む人も増えている。

さて、納豆も「健康によい日常食」として韓国の食卓に定着する日が来るだろうか。

菅野 朋子 ノンフィクションライター

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かんの ともこ / Tomoko Kanno

1963年生まれ。中央大学卒業。出版社勤務、『週刊文春』の記者を経て、現在フリー。ソウル在住。主な著書に『好きになってはいけない国』(文藝春秋)、『韓国窃盗ビジネスを追え』(新潮社)がある。

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