進む「家庭内IoT化」に潜むリスク ネット接続における利便性と安全性の両立へ
国内でテレビがランサムウェアに感染
2014年、「ある映像」が見放題だとしてネット上のサイトが話題になった。その映像とは、世界中にある監視カメラのものだ。
実際にこのサイトにアクセスすると、今でも監視カメラの映像がズラリと表示される。一見何も問題がないように思えるが、実はこれらの映像は、所有者の了解を得たものではなく、勝手にカメラにアクセスして表示させたものだ。
現在、サイト内には約3万台のカメラから映像が集められていて、そのうち2000台近くは日本のもの。防犯用、育児用、介護用などにIPカメラを使用していたら、すぐにチェックしたほうがいいかもしれない。自宅の様子が、このサイトを通じて全世界に公開されているかもしれないからだ。
今、日本の半分以上の家庭が、無線LAN(Wi-Fi)を使っている*1。PC、スマートフォン、タブレットだけでなく、最近ではスマートテレビや携帯ゲーム機をWi-Fi接続して利用することも身近になった。
それだけでなく、家電製品もWi-Fiへの対応を始め、それは家庭内のIoT(Internet of Things*2)化という文脈で解釈されることも多い。IoT はビジネス領域で先行していたが、今では家電製品がネット接続されて、スマホから遠隔操作できたり、モニターできたりというサービスが始まっている。IoT化されたエアコン、炊飯器、インターホン、電子ロックなどはすでに登場し、今後商品化のスピードは加速することが予想されている。
家の中が便利になっていくことは歓迎すべきことだが、その反面、リスクが増えることも考えておく必要がある。前述の監視カメラの例からわかるように、家の中の機器が外の世界につながるということは、外の世界から家の中にもアクセスできてしまうことになるからだ。
「すでに国内でも、Android搭載のスマートテレビに、ランサムウェアが感染した例が報告されています」。こう警鐘を鳴らすのは、インターネットセキュリティ大手のトレンドマイクロでコンシューマプロダクトマーケティングを手掛ける和田克之氏。
*1…平成25年通信利用動向調査(総務省)で54.4%
*2…「モノのインターネット」と呼ばれ、電子機器だけではなく、モノにセンサーを付けるなどしてネットから状態を監視・制御すること