ダメな上司は部下に真の「準備」をさせてない

防衛大で学んだ「高負荷」と「イメージ」の重み

防大では1年に1回、体力検定があります。これは各学年で行われます。「50メートル走、1500メートル走、ソフトボール投げ、立ち幅跳び、懸垂」の5種目です。もちろん、各種目には「ノルマ」があります。

「ノルマ」を達成しないと毎度おなじみの補習があります。私は懸垂が苦手でした。懸垂とは鉄棒にぶら下がり、腕や背中の力を使い、あごを棒の高さまで引き上げるというものです。案の定、補習に引っかかります。

1学年時は最低でも1回できないといけないのですが、私は1回もできませんでした。ちなみにですが、卒業時は確か6〜7回がノルマだったと思います。私を含めた15人ほどが補習に引っかかっていました。

授業後に全員鉄棒の前に集められ、教官の指導の下、懸垂を行います。初日は散々でした。まったくできない。ただでさえ、時間の確保が難しい防大1学年です。これ以上、補習で時間をとられるわけにはいきません。そこで、当時私の同期で「懸垂」が得意だったI君にお願いして特訓してもらうことにしました。I君は私より体も小さく身長も160センチメートル程度です。それでもI君は確か30回くらいできたと思います。何かしらのコツを得て、さくっと合格しようなんて横着なことを考えていた私にI君は言いました。

「懸垂得意になりたい? 厳しくいくけど大丈夫? でも懸垂できるようになるよ」

当時の私の回答はもちろん「イエス」です。とにかく補習から抜け出したかったですから。そこから、I君との特訓が始まります。懸垂が1回もできない私に対して、I君は5回やれといいます。そして鉄棒から落ちると罰が待っています。ちょっと休憩しようとすると、またすぐに鉄棒に着けと言われます。

やる気がある人間には高負荷を

ただでさえ上級生に指導される毎日です。同期にまで指導されたらたまったものではありません。肉体だけでなく、精神的にも負荷がかかりました。

ただ、努力の成果は出ます。毎日訓練をするので、できる回数も上がってきました。私が懸垂をするとき、I君がいつも回数を数えてくれます。初めて5回達成したときを今でも覚えています。いつものように声をかけられます。

「い〜ち、にぃ〜、さぁ〜ん、さぁ〜んてんいちぃ〜、さぁ〜んてんにぃ〜、さぁ〜んてんさぁ〜〜ん。お、いいね〜。よ〜ん、よ〜んてんいちぃ〜、……ごぉ〜」

いつも懸垂途中の小数点以下の数字までカウントします。この日初めて5回できました。そして後日行われた懸垂の「追試」は楽々とクリアしました。最終的に私は卒業時に30回以上の懸垂ができるようになりました。

卒業後、I君と会う機会があり、当時の話を聞いてみたところ、

「やる気がある人間には高負荷をかける。それが本人のためになるから」と言っていました。確かに、この特訓は私のためになりました。

一般企業に入ったとき、私はすでにこの「高負荷をかける」ということが習慣化されていました。同期が100件コールするところ、私は300回コールするといった具合です。この高負荷行動のおかげでトップセールスにもなり、社内MVPも何度も取りました。

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