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成長し続けるバロックの強さの秘密とは 日本発のファッションブランド

  • 制作:東洋経済企画広告制作チーム
幅広い顧客層、販路、価格帯をカバーできる多彩なブランド展開が同社の強み
女性向けアパレルブランドを展開するバロックジャパンリミテッドが存在感を発揮している。2000年3月に創業した若い企業だが、16年11月1日には東証1部に上場した。成長のスピードもさることながら、注目すべきはその高収益性だ。連結売上高は約700億円と、国内アパレル企業の中では中堅規模だが、純利益は35億円に達しており大手をもしのぐ。大きな特色は、独自の多品種小ロット型のビジネスモデルにある。早くからグローバル企業を目指し中国をはじめ海外展開にも注力。同社の強みはどこにあるのか、その成長戦略も含めて取材した。

業界トップクラスの棚卸資産回転率と売上総利益率

毎週新商品を投入し、2~3週間で売り切る。年間の棚卸資産回転率は約14回―。業界トップクラスの驚くべき数字だ。だが女性向けアパレルブランドを展開するバロックジャパンリミテッド(以下、バロック)では、創業当初から「当たり前」になっている。

それが実現できる背景には、同社独自の多品種小ロット型のビジネスモデルがある。同社は現在、主力ブランドである『MOUSSY(マウジー)』や『SLY(スライ)』など、14ブランドを展開。アパレルの製造小売(SPA)が規模を拡大する場合、ベーシックな商品に絞り、スケールメリットを得ることを目指す方向がある。しかしバロックはそれらとは一線を画し、むしろブランドのラインナップを増やすことで成長してきた。

それに対して「利益率が下がるのではないか」と考える人がいるとすれば早計だ。バロックではそれぞれのブランドの商品の生産ロットを少なめに抑えている。店舗によってはシーズンの初めに新作商品が出ると早々に売り切れてしまうほど。それが、同社のブランドのファンにとっては「早く買わないと手に入らない」という状況を作るとともに「来週はどんな商品が入るか楽しみ」という再来店の促進にもつながっている。まさに鮮度の高い商品を、高回転させるビジネスモデルである。

その結果、バロックの店舗では、ほとんどの商品について、セールなどの値引き販売に頼らなくても定価できちんと売り切ることができるという。これらの成果は実際の数字にも表れており、同社の売上総利益率は国内SPAの中でも高水準だ。

豊富な顧客層・販路をカバーするポートフォリオ

前述したように、バロックは現在、14ブランドを展開している。特筆すべきはこれらのブランドが、同社ならではのポートフォリオ経営につながっていることだ。

『マウジー』、『スライ』、『rienda(リエンダ)』などは同社の沿革にもつながるブランドで、20代の女性がターゲットの個性的なファッション性に富む。「渋谷109(東京・渋谷)」などの都市部の店舗ほか、ファッションビル・駅ビルなどで展開。

『AZUL by moussy(アズールバイマウジー)』、『RODEO CROWNS(ロデオクラウンズ)』などは10代後半~30代のファミリー、カップルが主な顧客層で、都市近郊や郊外のショッピングモールでの展開が中心だ。

30代~40代の女性を対象とするブランドもある。『ENFÖLD(エンフォルド)』、『PEGGY LANA(ペギーラナ)』は大都市圏のセレクトショップや有名百貨店向けのブランドだ。

またこれら実店舗だけでなく、自社のECプラットフォームである「SHEL'TTER WEB」の強化も推進。市場縮小傾向が見込まれる国内市場においても、安定した成長と事業拡大を進めていく。

このように幅広い顧客層、販路、価格帯をカバーする豊富なポートフォリオがあることで、顧客のさまざまなニーズに応えることができるとともに、経営の安定性につながっているわけだ。

中国の靴製造小売大手と資本提携し出店が急拡大

バロックの店舗数は国内360店舗、海外198店舗*に広がっている。

*国内はFC、海外はFC・合弁会社を含む。国内は2017年2月末現在、海外は同1月末現在

2006年には、海外第1号店となる『マウジー』香港店をオープンさせるなど、同社は早くから海外進出を進めてきた。現在は、全店舗の35%以上が海外になっているほど、出店を加速させている。大きな転機となったのが、中国の靴製造小売大手で香港株式市場に上場しているベル・インターナショナル(以下、ベル社)と13年に資本提携を行ったことだ。

合弁会社を設立し、すでに、中国本土において190店舗以上を運営している。

ベル社は近年、靴以外に、スポーツウエアやアパレルへの展開も進めており、成長戦略が一致したことが、資本提携にもつながったという。中国事業からの利益を折半する、というコンセプトに基づき、それぞれの強みを生かす形で小売事業の会社はベル社が過半数、小売の会社に商品を卸売する会社はバロックが過半数を保有。そのためバロックの連結売上に計上されるのは中国の小売売上高ではなく卸売上高である。17年1月期の中国事業からの利益は前年同期比で161.6%(現地通貨ベース。日本円換算ベースは137.5%)となっており、かなりの収益向上になっている。

現在中国において展開している『マウジー』、『スライ』は今後も合弁会社を通じて、年間60店舗前後の出店を中国で継続的に続けていく計画であり、さらにほかのブランド展開も検討中というから楽しみだ。

SCMを見直し世界で通用する収益性を目指す

バロックは中国以外でも、グローバル戦略を加速する計画だ。16年9月、米国のニューヨークに『マウジー』、『エンフォルド』の路面店をオープンさせた。今後は、東南アジア、南米などへ進出することも検討しているという。

創業当初から、同社が描くのはグローバルSPAとして世界で成長することだ。だが、その実現にはいくつかの課題もある。同社では前述した多品種小ロット型のもと、企画・開発から生産、物流、販売までのプロセスを最短化する取り組みを進めてきた。今後はさらにサプライ・チェーン・マネジメント(SCM)を世界規模で抜本的に見直し、海外の大手SPAと互角に戦える仕組みを構築していくという。

そのかじ取りを行うのが、同社の村井博之社長だ。大手製造業出身という異色の経歴を武器に、従来のアパレル業界の常識にとらわれない、革新的なSCMやSPAづくりに挑戦している。以下のページでは、その村井社長に、持続的な成長に向けての戦略や将来ビジョンを聞いた。

TOP INTERVIEW
将来的には海外売上高比率70%へ真のグローバル企業を目指す

― 創業以来急成長しています。

バロックジャパンリミテッド
代表取締役社長
村井博之

村井 当社はもともと、数人の若いデザイナーが「自分たちが着たい服がない。だったら自分たちで作ろう」と、渋谷の109に小さなショップを開いたのが発祥です。その点で、商品の企画力には自信を持っています。さらにお客様の要望を知り尽くす販売員の声を生かした商品づくりを行っています。それが支持され、中には毎週のように来店いただける方もいます。

店舗でも「自分たちのアイデアが生かされた商品だから、自信を持って売れる」というモチベーションが生まれ、商品を売り切る販売力につながっています。

― 2013年に中国の靴製造小売最大手、ベル社と合弁事業が始まりました。

村井 資本提携により年間50~60の出店ペースを実現しています。中国でも『マウジー』や『スライ』のファンになっていただけるお客様が着実に増えています。

さらにベル社は、今後ファッションを強化する考えです。同社からは、年間100店ペースで出店したいという要望も来ており、今後成長がさらに加速すると予測しています。

― 製造業勤務時は、中国での事業展開に携わったそうですね。現在、SCM改革を進めているそうですが、その経験はどう生きているのでしょうか。

村井 アパレル業界ではこれまで、デザイナーが絵を描けば、後はそれを商社が預かり、原料の調達から生産、物流まで全部やってくれました。ビジネスを起こすという意味ではメリットがありましたが、時間やコストがかかるのは確かです。

製造業であれば、原価やリードタイムにこだわるのは当たり前ですが、アパレル業界ではなかなかそれができていませんでした。当社はベル社との提携により、中国全土の物流網などの機能を利用できます。これにより、企画・開発から生産、物流、販売までにかかる時間やコストを大幅に削減することが可能になります。これらを含むSCM改革を今後も積極的に進めていく考えです。

― 16年には米国に進出されました。将来像をどう描いていますか。

村井 米国では小売は難しいと言われますが、世界最大級のマーケットであることも事実です。勝ち方を探る意味も含めて、挑戦したいですね。さらに近い将来には、東南アジア、南米などにも進出したいと考えています。日本の大手製造業などでは、海外売上高比率が高くなってきています。当社も将来的には海外売上高比率70%を超える本当の意味でのグローバル企業になりたいと考えています。

また、当社は株主の皆様への利益還元を強化するため、18年1月期以降は、配当性向30%~40%の安定配当を今後の基本方針としています。投資家の皆様にも、ぜひ引き続き、中長期的な視点でご注目いただきたいと願っています。