スマホやSNSに「依存」するのは理由があった 知られざる「行動依存症」の実態

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――そうした行動はどういった害を及ぼすのか。

毎日3時間を電話に費やしていたら、その分人と顔を合わせてかかわる時間がなくなる。スマホはその瞬間を楽しむためのものがすべてそろっているが、あまり行動を起こすことは求めない。

すべてが自分の目の前にあるので、何も覚える必要はない。記憶をしたり、新しいアイデアを思いつく能力を育てたりする必要がない。

故スティーブ・ジョブズが2010年のインタビューで、自分の子どもたちはiPadを持っていないと言っていたのは興味深い。実際、シリコンバレーの大物のうち驚くほど多くが、ある種の機器に子どもたちを近寄らせないようにしている。サンフランシスコのベイエリアにある私立学校では電子機器は使用禁止で、iPhoneもiPadもダメだ。この学校に関して面白いのは、親の75%がテクノロジー業界の幹部だということだ。

この学校を知ったことで、本を書こうという気持ちになった。専門家の目から見て、そうした製品のどこがそれほど危険なのだろうかと思ったのだ。

1950年代のような時間を持つ

――あなたには生後11カ月の息子がいるが、一緒に過ごす時には電子機器は使わない?

息子の近くではスマホは使わないようにしている。そうすることで、スマホの使用時間も減る。

――あなたはスマホ依存症だと思うか。

そう思う。時々、いろいろなゲームに病みつきになることがある。

メール依存症でもあり、メールをチェックせずにはいられない。受信トレイを空にしなければ夜も眠れないし、やめようとは思うものの、電話をベッドのそばに置いてしまう。

電子機器は私たちが夢中になるように作られている。メールは底なしだ。ソーシャルメディアもきりがない。ツイッターのフィードは終わることがなく、何度も何度も見にきてしまう。

――行動依存症を断ち切ろうとしている友人がいたら、あなたはどのようにアドバイスをするか。

電子機器がどの程度生活を侵害しているのか、もっと意識するように勧める。次に、それを遮断する。たとえば、午後6時以降はメールに返信しないなどのルールを設けるといいだろう。

そして、自然の中で過ごす時間を増やし、誰かと向かい合って長時間会話をする。1日の中で、1950年代のような時間、あるいは今が何時代かわからないような時間を持つべきだと思う。いつも画面と向かい合っているべきではないのだ。

(執筆:Claudia Dreifus記者、翻訳:東方雅美)
© 2017 New York Times News Service

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