(第3回)素敵な上司に共通すること

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●課題と人間という2つのキーワード

 このことをもう少し納得できる形にしておきましょう。リーダーシップ理論の中に行動理論といわれる分野があります。リーダーシップの行動理論は多くの団体や個人が研究しています。リーダーシップ研究の世界的な双璧はミシガン大学とオハイオ州立大学です。個人でもハーバードビジネススクールのジョン・コッター氏や神戸大学の金井壽宏氏などがいますが、どの理論も大きく2つの軸にまとめられます。それは課題関連の行動と人間関連の行動です。
 大学の先生方に教えていただくまでもなく、私たちはリーダーにとって何が大切かをすでに知っているのです。それも等身大でイメージできる身近な言葉で理解しているのです。
【表2<リーダーシップの行動理論における2つの軸>】
提唱者 課題関連 人間関連
ミシガン大学 生産志向性 従業員志向性
オハイオ州立大学 構造形成 人間配慮
ジョン・コッター アジェンダ設定 ネットワーク構築
金井壽宏 大きな絵を描く 人々を巻き込む
受講生の言葉 ビジョンが語れる、方向性がはっきりしている、目標が明確、信念を持っている、軸がぶれない、情熱がある、決断力、判断力、行動力、率先垂範、対外的な交渉力 話を最後まで聞いてくれる、相談にのってくれる、適切なアドバイスをくれる、信頼してくれる、親身、思いやり、優しい、叱ってくれる、困ったときは助けてくれる、一緒に考えてくれる、任せてくれる
(『組織行動の考え方』金井壽宏・高橋潔著を一部修正したうえで追記)

國貞克則(くにさだ・かつのり)
1961年生まれ。東北大学工学部機械工学科卒業後、神戸製鋼所入社。
プラント設計、人事、企画などを経て、1996年米国クレアモント大学ピーター・ドラッカー経営大学院でMBA取得。2001年ボナ・ヴィータ コーポレーションを設立して独立。中小・中堅企業の社長の右腕として財務・人事・戦略分野などの本社機能をサポートすると共に大手企業の中間管理職を対象に会計・リーダーシップ・戦略論の教育を行っている。また、子供向けの竹とんぼ工作教材を販売する「竹とんぼ屋」の店主でもある。
主な著書『財務3表一体理解法』(朝日新書)、『「財務3表のつながり」で見えてくる会計の勘所』(ダイヤモンド社)、『書いてマスター!決算書ドリル』(日本経済新聞出版社)、訳書に『財務マネジメントの基本と原則』(東洋経済新報社)がある。
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