働く女性が増えれば、男はもっと冒険できる テラモーターズ徳重社長、イノベーションを語る(下)

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 「日本に必要なのは、イノベーションだ」――そうした意見はメディアにあふれていますが、「イノベーションを起こすために何が必要か」は十分に語られていません。そのヒントを知るには、実際に時代を変えるような事業を生み出している人物に話を聞くのがいちばんです。
 今回は、2010年に電動バイクのベンチャー企業、テラモーターズを設立し、日本発のメガベンチャーの創出を志す、同社の徳重徹社長に「時代を変える事業の創り方」を語ってもらいます(全3回)。
 (本記事は、夢研究所「d-laboコミュニケーションスペース」で開催されたフォーラム、「時代を変える事業の創り方―新世代リーダーのためのイノベーション講座―」の内容を編集したものです。講演の映像はこちら
講演(上)はこちら: 日本の”頭のいい人”に、一番足りないもの
 講演(中)はこちら: 今の日本の経営者は、しょうもなさすぎる

徳重社長による講演の後、参加者のみなさんより多くの質問をいただきました。そのQ&Aの模様をお伝えします(モデレーター:佐々木紀彦)

朝令暮改なんて遅すぎる

質問①:スピード感を持って決定することが大事だというお話でしたが、どうやって決定にスピード感を持たせようとしていますか?

僕たちも決定の前は、大企業と同じように徹底的に分析します。市場があるかとか、競合はどうだとか、法律がどうだとか、電気料金がどうだとか、労働管理だとか。本も買って、その産業の人にも会って、日本でも現地でもキーマンみたいな人に会いに行く。それでだいたい情報は集まるのではないですか。

ただ新興国の場合、政府の白書などもないし、最終的に埋めようとする項目は全部埋まらない。あとは現場感覚で60%いけると思ったら決めます。

先日、日産の人たちと話していて、「何でそんなに臨機応変に変えられるんですか」という質問を受けたんですよ。僕が尊敬しているカルロス・ゴーンの日産ですら、一度決めたら、途中で軌道修正するのは難しいらしいですね。

それで、うちと日産は何が違うのかなと考えたら、シンプルにわかった。僕たちはベンチャー起業だから、結果にこだわっている。結果を出すためなら軌道修正もいとわない。状況が変わったり、新しい情報が入ってきたりして、こちらのほうがもっと結果が出やすくなるとわかったら、それを変えるのは僕たち的には当たり前で、逆に変えないのはすごいと思う。

今はそういう日本人が多いけれど、昔からそうだったわけではなくて、僕の尊敬するソニーの創業者の盛田昭夫さんの本を読んでいたら、こんな意味のことが書いてありました。

「朝令暮改なんて遅すぎる。朝決めたことは昼変えろ」

そういうところは今、すごい硬直感がありますよね。

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