日本の”頭がいい人”に、一番足りないもの テラモーターズ徳重社長、イノベーションを語る(上)
星一徹のような怖い親父
テラモーターズの徳重でございます。今日は雨の中、本当にありがとうございます。
私はもともと大学は工学部です。でも親父とすったもんだがありまして、住友海上火災保険という非常に堅い会社に入りました。そこで5年半ほど頑張って勤めましたが、29歳で辞めてしまいます。でも非常に厳しい部署で先輩方に鍛えられたので、この会社には今も感謝しています。
僕はずっと親父から、「お前の成功はとにかく一流大学、一流企業に入って部長になることだ」と言われて育てられました。
うちの父親は本当にクレイジーで、腹を立てるとちゃぶ台をひっくり返すような、「巨人の星」の星一徹みたいな怖い親父なんですよ。僕は山口県出身ですが、田舎の長男は、すごく厳しく育てられます。月に1回ぐらい「説教の時間」というのがあって、正座して説教されるのです。そのときの教えの第何項かに「会社をやってはいけません」という項目があった(一同爆笑)。本当ですよ。当時、僕はまだまじめだったんで、親父の期待を裏切ってはいけないと思っていた。
本当はチャレンジするのか好きだから、ホンダとか、ソニーとか、世界市場を開拓するような会社に就職したかったのです。でも将来、山口に帰って来いというのが親父の夢。ところがホンダもソニーも山口県に支店がない。そこで山口に支店がある住友海上火災に入りました。
会社では一生懸命働いていたものの、でもやっぱり「何か違うんじゃないかな」という思いが断ち切れない。「もう親父のかせを外さないと俺の人生始まらない」と思って、一回、ゼロにしました。せっかく入った大企業で、しかも会社ではすごくいい部署で、社費でMBA留学をさせてもらえるかもしれない。でも会社のおカネでMBAに行くと辞めにくくなる。だから辞めて自費で行くことにしました。その後はシリコンバレーで仕事をするつもりでした。