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新たな産業集積モデルの構築を

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地域経済循環の仕組みが必要

安倍政権は、地方創生政策の一環として企業の地方移転を促進させる意向を示している。たこ焼きチェーンを展開する企業が宮城県石巻に本社を移転したように、これからも地方に本社を移す企業が出てくることはあり得るだろう。ただ、いずれにしても自治体は、産業や経営のトレンドを把握し、先を読まないと誘致を成功させることは難しい。

私は、東北の被災地に看護系や介護系の大学をつくることを提起したいと考えている。できれば全寮制が望ましいだろう。1学年100人として4年制大学なら、通常18歳から22歳の若い人が400人、少なくとも4年間その地域に定住することになる。若い人がくるということだけでも、地域には大きな影響がある。病院や福祉施設などがあれば、卒業後その地域で就職し、本格的に定住するようになるかもしれない。少子高齢化が進む中、文部科学省が大学の新設を認めるかどうかは不透明な部分もあるが、そういう実験的な試みをすることも必要だろう。

企業誘致を成功させるには、地域経済循環の仕組みをつくりださねばならない。しかしそれは行政の力だけでは難しいのが現実である。産学などとの連携も必要だし、コンサルなどの力を借りなければならないこともあるだろう。

また、企業を誘致するということは、人に来てもらうということであり、他の地域の人が住みたいと思う場所にしなければならない。地元を好きになってもらわないといけない。そのためには多様な魅力ある人材が地域にいることも大切なポイントになる。たとえばベンチャーや中小のメーカーは、いい製品をつくる力はあっても、それをマーケットにつなぐ力が不足していることが多い。介護施設などはマネジメントできる人材が不足して困っているケースが少なくない。

企業の立地を梃子に内発的な成長へと発展することが、地域経済の活力となる。魅力的な人材の育成まで含めて時間をかけてじっくり取り組む姿勢に注目したい。

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