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異文化コミュニケーションは、新たな時代へ 東洋大学

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文学部 英語コミュニケーション学科 教授
倉田雅美
ノッティンガム大学大学院修了。東洋大学工学部教授を経て現職。専門はイギリス文学。主な著書に『一人の詩人と二人の画家 ― D・H・ロレンスとニューメキシコ』(春風社、共訳、2016)など

杉山 ひとくくりに英語と言っても、イギリス・アメリカ・オーストラリアでは、表現等はかなり違いますね。プロになって最初の1、2年は海外で観光をする余裕もなく、ホテルと試合会場の往復だけで精一杯でした。ですが、次第にその土地の文化に触れたり、おいしいものを食べたりするようになったことで、自分自身の幅が広がったと思えるようになりました。ダブルスのパートナーやほかの選手とは、テニスのこと以外に、互いの国のスポーツ文化や国民性の話などもするので、まずは日本の歴史や文化について知っておく必要があります。そして何よりも、相手のことを理解しようとすることがコミュニケーションでは大切です。その結果、選手生活を振り返って「私の国にも遊びに来て。いつでも歓迎するわよ」と言ってくれる友達ができたことはかけがえのない財産です。

倉田 それは貴重なご経験ですね。私の専門は英文学ですが、イギリスは、イングランド、ウェールズ、スコットランド、北アイルランドという、独自の歴史・文化と強いアイデンティティーを持つ4つの地域で構成されています。海外の文化、人を理解するには、その歴史・文化の知識が欠かせません。異文化コミュニケーションは、相手の歴史・文化を知りたいという意欲から始まります。今、増加している、日本を知りたい訪日外国人に対して、日本人は自国文化をより理解し、発信していくことが大切です。

杉山 私も、正月や節分などの日本の年中行事について、英語で解説した本を買って読んだことがあります。たとえば、「節分で豆をまくのはなぜか」を外国人に英語で説明しようとすると、日本人として当たり前のこととして認識していたために、それまで見逃していた文化的背景に気づかされ、とても勉強になります。これからの若者が世界で活躍できるようになるために、こうした経験も伝えていきたいと思います。

倉田 新たに誕生する文学部国際文化コミュニケーション学科では、杉山さんがおっしゃったように日本の歴史・文化への理解を深め、世界に発信できる力を身に付けられるカリキュラムを設けます。日本語教授法を含めた日本語教育にも注力することで、外国人留学生には母国に帰国した後、日本文化・日本語の魅力を発信してもらい、また日本人学生には国内外での日本語教師の道も拓けます。文学部国際文化コミュニケーション学科で異文化・自文化への理解を深め、多言語コミュニケーション力を身に付けた学生の今後にご期待ください。