SL列車での感動結婚式は「特別」が満載だった 「日本で唯一」旅行会社と鉄道会社が共同企画

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改札口から新金谷駅ホームに続く道が花道となる。クラッカーを鳴らす参列客も(筆者撮影)

お昼12時頃、新金谷駅のホームに参列客が集まり始めた。いよいよ人前式の始まり、新郎新婦入場である。音楽が流れ始め、お二人は、改札口を通ってホームまでゆっくりと歩いて行く。私だったら鉄道唱歌をかけてしまうかもしれない、などと考えながら、参列者に混じって写真を撮らせてもらう。

ホームには赤い舞台が設けられており、そこで駅長が立会人となって、結婚の宣誓、および証明書へのサインと、一通りのことが行われた。全ては通常の結婚式と変わらない。ただ、ここは駅のホームなのだ。

そこへC11形190号機が汽笛を鳴らし、煙を吐きながら入線してきた。これが往路のブライダルトレインを牽引する機関車だ。C11形190号機には日章旗が取り付けられている。この日が旗日だったということもあるが、これはおめでたい時に取り付けるもので、鉄道ファンにとっても特別な意味合いを持つらしい。さらに、ご友人がデザインした新郎新婦の似顔絵のヘッドマークも取り付けられた。

出発式が行われた後、新郎新婦と参列者の80名ほどが列車に乗り込むと、ポォー!という汽笛の音を合図に列車は出発した。

あいさつは車掌室から放送で

ブライダル列車は蒸気機関車を先頭に、客車4両の編成。客車は機関車側から順に4号車(普通車)、3号車(お座敷車)、2号車(お座敷車)、1号車(展望車)となる。私はブライダルトレインに乗ってはいるものの、参列者ではないので、控え室も兼ねた4号車の普通車に乗せてもらった。普通車とはいえ、これは旧型客車のオハフ33形、私が一番好きな客車である。寒い外から客車に入ると、蒸気機関車の蒸気で温める仕組みの足元の暖房がとても心地よく、気を抜くとウトウトしそうになる。

硬券きっぷもオリジナルで作れる。ダッチングマシンでちゃんと日付も入っている(筆者撮影)

車内放送では新郎新婦と主賓のあいさつ、そして乾杯が続けて行われた。お座敷車両にはお料理がすでに並べられており、みな食事をしながらあいさつに聞き入る。ちなみに車内放送は、4号車の前寄りにある車掌室のマイクからしか放送できないので、あいさつをするみなさんは行ったり来たり、なかなか忙しそうである。

そして、新郎新婦は参列者に配られた硬券にはさみを入れて歩く。これがキャンドルサービスの代わりだ。祝電なども披露され、まもなく抜里(ぬくり)駅を通過するというその時、新郎新婦が最後尾のデッキまで出て手を振るという。なぜだろう?

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