事後レポ

「信頼できるネットメディア」とは何なのか

スマートフォンが普及し、テレビや紙媒体をしのぐまでに成長したネットメディア。だが、不正確な記事、無断転用などの問題が明らかになり、その信頼性が大きく揺らいでいる。1月26日に東京・中央区にて緊急開催されたメディア戦略セミナーには、オンラインメディアの編集長や、キュレーションメディアの代表らが登壇。信頼できるメディア、フェイク記事を拡散させない仕組みなどについて語り合った。
主催:東洋経済オンライン
協力パートナー:シー・エヌ・エス、シャノン、ヤマノ印刷

ディスカッションI
取材メディアのあるべき姿とは?
~記事における「信頼」とは?現状、そして課題について議論~

第1部では、オンラインメディアの3人の編集長がネットメディアの信頼性を議論した。

竹田 直弘
文春オンライン
編集長

2017年1月にオープンした文春オンライン編集長の竹田直弘氏は、最近の雑誌ジャーナリズムについて「『ちゃんとしている』と評価されるようになり、受け止められ方の変化を感じています」と手応えを語る。信頼されるには、きちんとした取材が大前提だが、その上で「書けない記事はほとんどない」という文春の姿勢を強調。「読者は、大人の事情を見透かすので、書くべきときにきちんと書かないと信頼が失われます。オンラインでも本当のことを伝えていきたい」と述べた。

川治 豊成
現代ビジネス
編集長

昨夏にリニューアルした現代ビジネス編集長の川治豊成氏は「信頼のためになすべきことは紙もウェブも大きく変わらないと思います」と述べ、不明瞭な一人称の記事を廃して、書き手の明示に取り組む。また、アーカイブに堪える読み応えのある記事を積み上げることで、読み手からの信頼を得ると同時に、ライターにとっても魅力的な媒体となって書き手からも信頼されることの大切さを指摘。クリックされないと始まらないネットメディアの特性上、タイトルは刺激的になりがちだが「内容を伴わせることが大事」と訴えた。

山田 俊浩
東洋経済オンライン
編集長

東洋経済オンラインの山田俊浩編集長は、品質優先のために時間とコストをかけて校閲・校正を組み込んだ編集体制を敷いていると説明。「それでも間違いは起きます。事実誤認などの重大な誤りは履歴を残すなどきちんと訂正することが大事」と述べた。また、記事とともに表示する読者コメントからは質の高い有益な示唆を得られると主張。「ネットには訂正が有効に機能する仕組みがあり、従来型のメディアよりも信頼性は高くなると考えています」と、ネットの強みを示した。

大西 康之
(モデレーター)
ジャーナリスト

不正確な記事、無断転用が明らかになったネットメディアの問題では、モデレーターの大西康之氏が、主力の書き手である外部ライターの選び方や、将来を担う若手育成について問題提起。新たに仕事をする書き手とは、必ず直接会うことにしているという竹田氏は「信頼できる情報は安くない」と述べた。ネットでは柔軟に試すことが可能という川治氏は「ネットのほうが新しい書き手を発掘しやすいと思います」と若手登用に積極姿勢を見せた。山田編集長は「分野の専門家であれば重要な書き手になれます」という可能性を示した。

また、大西氏は、信頼性を高める対価としてのコストを払うためにも稼げることが大事と指摘。竹田氏は「コンテンツをいかに売るかがポイント」と課金制導入も視野に入れた。川治氏は「ネットでの稼ぎ方を見つけるのは後の世代になるでしょう」と、十分な収益体制の構築にはまだ時間がかかるとの見方。山田編集長は「ページビューなどを着実に伸ばすことで、広告収入も増えます。そのためには信頼が大事です」とまとめた。

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