リクルートスーツの「制服化」が進んでいる スーツは黒、ネクタイはストライプで画一化

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スーツの形などファッション性に大きな差がなくなる中、リクルートスーツに求められているのは機能性だ。就活も冬の時期から夏場にかけて行われるため、さまざまなシーズンに対応できるだけでなく、洗濯機で洗えたり、面接で緊張して汗が出るシーンを想定した消臭機能、汚れがつきにくくシワになりにくい素材といった、使い勝手の面が重視されている。アイテムについても、バッグは軽量で、A4のサイズの書類に加えてPETボトルも入れられる大きさにしたり、靴も歩きやすい形状を意識するといった製品開発が行われている。

ほかの紳士服ショップやメーカーも、機能性を重視した差別化で就活スーツのアピールを行っている状況だ。

服を選ぶ負担が減り、就活に集中できる

女子学生のスーツ。コートはベージュのトレンチコートが主流だ(撮影:大澤誠)

リクルートスーツが黒一色に染まる現状に対して「没個性的だ」「新たな発想が求められている中、服装は画一的すぎるのではないか」という意見は少なくない。しかし、どこかの会社が「服装自由」という採用手法をとったとしても、大多数がスーツでの試験や面接を求めているかぎり、黒いスーツを求める傾向は変わらない。むしろ、黒いリクルートスーツ以外に、別の就活のための服装を用意するという状況になり、学生にとっては、経済的にも時間的にも負担が大きくなる。

学生からすれば、服装のことに時間を取られず、本来の自己分析や面接対策、業界研究に集中できるメリットもある。そして何よりも、外見より、本人の内面性やこれまでの活動が重視される就活に変わってきていることこそ、歓迎すべきことなのかもしれない。

宇都宮 徹 東洋経済 記者

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うつのみや とおる / Toru Utsunomiya

週刊東洋経済編集長補佐。1974年生まれ。1996年専修大学経済学部卒業。『会社四季報未上場版』編集部、決算短信の担当を経て『週刊東洋経済』編集部に。連載の編集担当から大学、マクロ経済、年末年始合併号(大予測号)などの特集を担当。記者としても農薬・肥料、鉄道、工作機械、人材業界などを担当する。会社四季報プロ500副編集長、就職四季報プラスワン編集長、週刊東洋経済副編集長などを経て、2023年4月から現職。

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