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受験生を英語好きに変える授業を 人気英語講師がたどり着いた舞台とは

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人気講師が語る、忘れられない授業とは

予備校の講師時代、受講希望者が多すぎて整理券を配布することさえあったという人気英語講師の関正生氏には忘れられない授業がある。まだ、慶應義塾大学文学部英米文学専攻に在学していた時だ。授業を終えると生徒の1人が駆け寄ってきてこう言った。「英語の授業がこんなに面白くわかりやすいのは初めてでした。今まで英語は嫌いでしたけれど、私、今日から英語が好きになりました。人生が変わっちゃったかもしれません」。

生徒が感激したこの時の授業で、人生が変わった人物がもう一人いた。関氏本人である。教えることの面白さ、素晴らしさに覚醒した関氏も、この時から変わったとも言えるだろう。以後、毎日のように教壇に立つようになった関氏は、猛烈な努力をした。英語や英語教育に関する本は手あたり次第に読んだ。

「書店の英語教育コーナーにある本は端から読破していきました」と振り返る。そうして得た知識をアレンジし、自分なりの教え方を研究した。アイデアが浮かぶとすぐ実際の授業で試してみた。そしてその評価を教室で生徒に直接聞いた。関氏が講師を務めていた予備校は生徒にアンケート調査を行っていたが、それとは別に自分でつくったオリジナルのアンケート用紙を生徒に配ることも多かった。教え方、教えた内容、話し方、言葉遣い、間に挟んだ冗談や時事ネタ、動作、黒板の使い方等々、細かいところまで生徒の意見を聞いた。もちろん授業で教えたことが理解できたかどうかも聞いた。そうしたアンケート用紙を関氏は今でも大切にとっている。

そうして集めた生徒の声をもとに、関氏は授業内容の改善を繰り返した。結果もついてきた。関氏の教える技術は磨かれ、ストレートに生徒の成績に反映されていった。

関氏の授業はどんどん増えていった。「大学生の時は夕方の5時から夜10時まで授業を持っていました。しかも、ほとんど休まずに授業をしたと記憶しています。ですから、就活はせず、そのまま予備校の講師となりました。今度は朝の9時から夜10時までびっしり。授業数では誰にも負けないと自負しています」

なぜそんなに人気があったのか。その秘密の一端を関氏は明かしてくれた。「たとえば英語の関係代名詞について、多くの参考書が『接続詞と代名詞の働きを兼ねる』といった説明をしています。これでどれくらいの高校生が理解できるでしょうか。僕は何でも、そもそも原理原則は何かということを考えます。では、関係代名詞の役割はそもそも何か。すると、前にある名詞を細かく説明するのが役割だということがわかります。そういうシンプルな原理を教えると、わかりやすいし、理解できるから無理に覚えようとしなくてもきちんと頭に入って残るのです。また、10の文法事項を覚えさせるような場面でも、僕は3個しか教えない、なんてときがよくあります。その代りその3個の概念をしっかり考えさせる。そうすると生徒は10の文法事項を地力で理解できるようになるのです。しかし、多くの参考書や予備校講師は極めて少ない例外も付け加えるのです。同業者からの批判がこないように、ほとんど使われないような事例までも教える。生徒はわかりにくくなる一方ではないでしょうか」と関氏。「誰のために授業をしているのか、と疑問に思ってしまいます」

「わかりやすい」のその先へ

関氏はこれまでに約40冊の著書を出し、発行部数は韓国や台湾での翻訳本を合わせ100万部に迫る。著作の多くに「わかりやすい・・」というタイトルがつけられているが、「講師としてわかりやすいというのは最低限の前提。英語嫌いが好きになった、人生が変わったという言葉を追い求めてきたのです」と関氏は断言した。

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