天皇の「問題提起」は国会で議論されるべきだ

保守派論客は天皇が示す天皇像に否定的だが

被災地訪問を繰り返し、国民と直に対話を重ねる天皇、皇后両陛下。写真は昨年3月宮川県女川(写真:共同)

天皇陛下自らがメッセージを発し国民的な関心事になった「天皇の生前退位問題」だが、首相官邸の進め方や「有識者会議」での議論を見ると、天皇陛下の意向と政府の方針には大きなギャップがあるようだ。

政府は天皇陛下の意向とは切り離した形で特例法を制定し、一代限りで生前退位を認める方針だ。天皇陛下の意向が法案に反映されることは「天皇は国政に関する権能を有しない」と定めた憲法に違反するというのが理由だ。それでは天皇陛下がなぜ退位を決断したかという本質的な問題が広く共有されないまま、「生前退位問題」は形式的には法案を作成する内閣や特例法を成立させる衆参両院による「天皇の引退」に終わってしまいかねない。

側近らの慎重論を振り切ってまで生前退位を決断した天皇陛下の真意はどこにあるのだろうか。2016年8月に公表された「象徴としてのお務めについての天皇陛下のおことば」を改めて読んでみると、天皇陛下の真意が、単に高齢になったから引退したいというような単純なものではないことがわかる。

国民と対話する「開かれた天皇」像

天皇陛下は即位後、象徴天皇がいかにあるべきかを模索し続けており、「日々新たになる日本と世界の中にあって、日本の皇室がいかに伝統を現代に生かし、いきいきとして社会に内在し、人々の期待に応えていくかを考えつつ、今日に至っています」と述べている。

そして、天皇陛下がたどり着いた答えは、国民と距離を置き静かに皇居にたたずみ権威を維持するという道ではなく、積極的に国民の前に出ていき国民と対話して心を通い合わせる「開かれた天皇」像だった。その点について天皇陛下は次のように語った。

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