晴れない不正取引疑惑 ネットマークスの惨状

晴れない不正取引疑惑 ネットマークスの惨状

日本ユニシスへの傘下入りと同時期に不正取引が発覚したネットマークス。改善報告書を提出したが…(『週刊東洋経済』10月20日号より)

 今年6月に不正取引の事実を公表し、大幅な決算訂正を行ったIT関連企業、ネットマークス(東証2部)。同社が10月2日に東証へ提出した改善報告書で、循環取引の横行などずさんな経営実態が明らかになった。

 不正の発端は主要顧客の日本アイ・ビー・エム(IBM)との取引だった。販売見込みが不確定なソフトを仕入れたことがきっかけで、営業担当者が他社も巻き込んだ循環取引に走った。手口は悪質化し、担当者は社内の正式な手続きを経ず、勝手に上司の印鑑を押して取引書類を作った。これら転売は3年余りの間に合計197回も行われ、うち70回が同社を通過、その都度収益が計上されていた。

 不正取引を行っていた事業部は、4年前に買収した日本IBM子会社が前身で、独立色が強かった。ネットマークスは前述の不正取引とは別に大証ヘラクレス上場のデジタルデザインとの間でも係争中の案件があり、循環取引の疑いが持たれている。それも同じ事業部が担当だった。

ユニシスも循環取引

 弁護士らによる調査委員会が9月にまとめた報告書は「これ以上の不適切な取引は無いという心証を得た」とする。が、なおも疑惑はくすぶる。今年2月に強制捜査が入ったアイ・エックス・アイ(IXI、今年1月倒産)による架空循環取引でも関与が取りざたされているからだ。

 IXIの末期は売り上げの8~9割が架空だった。再生手続開始申立書によると、同社は昨年4~12月に約23億円もの仕入れをネットマークスから行っている。これも架空循環取引の一部だった可能性がある。「調査の結果、IXIとの取引は付加価値をつけたものだった」。ネットマークスはそう主張するが、取引対象物の実在性をどこまで確認したかは不明だ。

 ネットマークスをめぐっては昨年秋から不正取引がささやかれていた。にもかかわらず、今年6月に株式公開買い付けで同社を子会社化した日本ユニシスの対応は不可解極まりない。結局、同社は短期間で62億円もの株式評価損を迫られた。もっとも、三井物産の有力グループ企業であるユニシスにしてもIXIの架空循環取引に参加していたことが民事裁判の記録などで明らかになっている。IT業界の闇は相当に深い。

(書き手:井下健悟、高橋篤史)

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