「愛するがゆえ」に子どもを苦しめる親の特徴 それは成長できない親の悪あがきにすぎない

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子どもとしても、何でも親の言う通りにはしてはいられないと思う一方で、やっぱり親は大事な存在。親の意に反する選択をすれば、つねに後ろめたさがつきまとうものです。その結果、親の言うことを聞いても「自分のやりたいことができなかった」、自分の意思を押し通しても「親の期待に添えなかった」と、どちらを選んでも苦しむことになります。

熱心な親ほど子のすべてを把握していたい

このように、子どもに罪悪感を持たせてしまう親が多いのはなぜでしょうか。まず、熱心な親であればあるほど「今まで手塩にかけてきた」子どものすべてを把握し、コントロールしたい、と思ってしまうからです。道に外れることがないよう、子どもの行動を先回りして、その安全を確かめてしまいます。

加えて、対他的劣等感(他者との比較による劣等感)をコントロールできないことも原因です。劣等感を抱くこと自体は、健康な感情であり、努力や成長を促すエネルギー源となります。しかし、対他的劣等感が強いと、「従兄弟の〇〇ちゃんはあんな立派な会社に就職したのに、どうしてウチの子は」といった具合に、世間や親せきなどと比べて、子どもが思った通りにならないことに腹を立てやすくなるのです。

このような事態を回避するために、親が気をつけるべきことは何でしょうか。

乳児期は、決して肌を離さず、幼児期は、決して手を離さず
児童期は、決して目を離さず、青年期は、決して心を離さず

 

教育現場や保護者会などでよく引用されるこのフレーズ。ご存知の方も多いでしょう。子どもには、その成長過程に応じた愛情が必要です。

では、子どもが青年期(ティーン・エイジャー)を過ぎたら、親はどうすればいいのでしょう。それは、「決して○○を離さず」ではなく、擁護から支援へと、愛情の注ぎ方の転換を図ることです。

擁護とは「常に」必要なものですが、支援は「必要な時に必要なことだけをする」ことです。例えば、災害支援では必要のないものが大量に送られてきても困りますし、災害が起きていないときの支援は不要です。これと同じように、親は、子どもが必要としたときに、必要に応じて支援するというスタンスに切り替える必要があるのです。

この切り替えに適切なタイミングのひとつは、子どもが高校を卒業する頃です。就職や進学によって、1日の多くの時間を、親が把握しきれないコミュニティで過ごすことになるこの時期から、緩やかに移行できるといいですね。

子どもとの信頼関係を築くポイントは、以下の4つ。

1.親が知らない領域があっても、執拗に詮索せずに受け入れること。
2.話の一部分だけを聞いて、必要以上に心配をしないこと。
3.物事を「正解・不正解」「成功・失敗」という二分法で判断しないこと。
4.「子への愛情」という名目のもとで、子どもを操作・支配しようとしているという自分の感情に気づくこと。
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