【産業天気図・食品・飲料】2008年度の食品業界は「曇り」だが、原材料高続くも値上げ攻勢でしのぎ薄日射す

予想天気
   08年4~9月  08年10月~09年3月

2008年度の食品業界は全般的に「曇り」となりそうだ。ただ、史上空前の原材料高騰を各社製品値上げによってしのぐ動きが加速。原料高騰のインパクトから一巡、今年度は基本的には増益基調と、これまで空を厚く覆っていた雲は次第に薄くなりそうだ。

生活必需品的な要素が強いパン業界は値上げラッシュ真っただ中だ。山崎製パン<2212>は08年4月に小麦の政府売渡価格が引き上げられたのを受けて5月から製品を平均8%値上げ。17年ぶりに値上げした昨年12月から半年もしないうちに2回目の値上げを断行したことになる。また、第一屋製パン<2215>や日糧製パン<2218>など競合各社も追随している。今年10月にも小麦価格はさらに引き上げられると予想されており、厳しい状況が続くことには変わりない。こうしたなか、山崎製パンは二極化する消費者動向に合わせた対策を打つ。食パンでは量販PB商品対抗の低価格品や内容量を減少させた製品を用意。一方で、品質を改善した高価格の食パン拡販も進める。また、値上げの影響を受けにくい嗜好品的要素が強い菓子パンに注力しながら増益基調を維持する方針だ。

乳業業界でも原料高の影響は深刻だ。豪州で発生した干ばつが原因で、07年度後半からチーズなどの輸入乳原料価格の高騰が鮮明になった。今年度も上半期を中心に輸入原料高騰の影響は色濃く残る。加えて国内でも08年4月に原料乳価が引き上げられた。明治乳業<2161>や森永乳業<2264>、雪印乳業<2262>など乳業各社は値上げと高付加価値製品の拡販で原材料高の影響を吸収する方針だ。

一方、景況感を強く反映するビール業界でも前期に比べて雲は薄くなりそうだ。キリンホールディングス<2503>が2月、アサヒビール<2502>が3月、サッポロホールディングス<2501>が4月に相次いでビール系飲料を値上げした。サントリーも遅れて9月に値上げを実施する予定。各社値上げ実施月の一ヶ月前には酒類卸が製品を買いだめし、翌月に出荷量が大幅に落ち込むといった現象が起きている。08年に入りビールや発泡酒の出荷量は落ち込んでいるが、割安感が強い第3のビールの出荷量が急増している。08年1−5月の第3のビールの出荷量は前年同期に比べ15%増加、市場規模は発泡酒に追いつくほどの規模だ。ビールの総需要が減少傾向にある状況下で、第3のビール類の需要増加は明るい材料といってよいのではないだろうか。値上げ効果に加え、拡販費抑制もあり営業増益を確保する。

前07年度は、いわば“値上げ元年”。急激な原材料価格高騰に対する“抗体”がメーカー側になく、食品値上げに対する消費者の抵抗感は強烈だった。が、今年度は消費者の間にも“慣れ”が出てくるのではないだろうか。原材料高騰が止まらない限り雲がすっかり消えることはないが、業界は明るさを徐々に取り戻していくだろう。

【佐藤 未来記者】

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