トランプが中国を挑発する、その真意を読む

その外交手腕は天才的か、それとも素人か

米トランプ次期大統領は、台湾の蔡英文総統と電話で会談したと言うが…(写真:AP/アフロ)
いまだ全貌のみえない「トランプ外交」。しかし突然、台湾の蔡英文総統と電話会談し、南シナ海における中国の行動を強く牽制する発言に、これまでと違った「米中激突」の予感を覚えた人は、少なくないのではないでしょうか。
はたして予測不可能な「トランプ外交」は天才のなせる技なのか、それとも奇をてらった素人の所業か。もしほんとうに米中関係が悪化すると、世界はどうなってしまうのか。『トランプVS習近平 そして激変を勝ち抜く日本』の著書もある、富坂聰氏が、その真意を読み解きます。

ジャブを飛び越えた渾身のストレート

米国のトランプ次期大統領は、12月2日、台湾の蔡英文総統と電話で会談したと唐突に自身のツイッターに投稿した。「アメリカから多くの兵器を購入している台湾の祝意を受けるべきではないというのは興味深い」とも綴ったと伝えられた。

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米国が1979年に台湾と断交して以来、次期大統領と総統が電話で会談したことが明らかになったのは、初めてだ。

このニュースが世界に与えた衝撃は大きく、オバマ政権は対応に追われた。ネッド・プライス報道官は「中台関係をめぐる長年の政策に変更はない」との声明を発表。「米中間の3つの共同コミュニケに基づく『ひとつの中国』政策を堅持する」と断じた。ケリー国務長官も同じように、困惑気味に「国務省は事前に何の助言の要請も受けなかった」とトランプ氏の行動に懸念を表明した。

中国も、いまだ過剰な反応はみせてはいない。党中央機関紙『人民日報』は、〈「小細工」は中米関係の大構造を変えられない〉というタイトルで記事(日本語版 1016年12月5日)を掲載し、そのなかで〈トランプ氏がまだホワイトハウス入りしていないことを考慮し、しばらくは今回の通話事件を性質の悪い「小細工」と呼ぶ〉と静観する姿勢を示した。

興味深かったのは同じ記事の中で、〈「米国優先」は中国の核心的利益を損なうことで実現しなければならないという意味ではない。中米間には確かに競争の一面があるが、依然共通利益が主導しており、協力が主流だ。戦略対立を避ける双方の意向は強く、国際社会も中米が連携してグローバルな試練に対処することを一致して期待している〉と、協力関係の重要性を丁寧に説いていることだ。

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