
学部4年生が国際会議においてポスター賞受賞
実り始めた理工の英語教育
「今回の受賞は、研究室に配属されて半年あまりの4年生が、国際会議への2回目の参加で成し遂げた快挙です」と喜びを語るのは、学生を指導する理工学部機能創造理工学科の谷貝剛准教授。2016年11月、機能創造理工学科4年の赤井遥さんが、『第1回ICMCアジア会議/CSSJ50周年記念合同国際会議』において、『イットリウム系超電導テープ線材の複合曲げ状況下における歪みの分布とその超電導特性への影響に関する実験的研究』を発表し、『Asian ICMC Outstanding Poster Presentation Award』(ポスター賞)を受賞したのだ。大学院生の受賞が多い中、赤井さんは学部4年生。しかも、今年の春に研究室に配属されてからわずか半年で優れた成果を挙げた。
理工学部では、上智大学の「スーパーグローバル大学(SGU)創成支援」の採択と前後して、グローバル化の流れを加速させるための体制づくりに注力してきた。その努力は、世界の舞台での評価という形で既に現れ始めている。赤井さんをはじめとして、国際学会で高い評価を受ける学生が相次いでいるのだ。
その背景には、理工学部独自の英語教育の存在がある。国際学会での発表や外国の文献講読や論文執筆など、今や理工系学生にとって英語は日常的に必要とされるツールだ。そこで理工学部では、語学科目の英語とは別に、2年次から系統的に科学英語教育を行うカリキュラムを展開。科学技術分野の専門用語や表現を身につけ、ディスカッション、プレゼンテーション能力などを修得することを目的としている。
理工学部長築地徹浩教授
「さらに、本学部では、グローバルに活躍する女性研究者の育成を目的に、女性研究者への支援を行っています。学部4年生でしかも女子学生の今回の受賞は、まさにこれまでの実践のすばらしい成果といえるのです」と、理工学部長を務める築地徹浩教授も目を細める。「グローバルな視点から科学技術の発展に貢献する次世代の研究者や技術者を育てる」ことが築地学部長の念願でもあったからだ。
世界中からの留学生が集うキャンパス
「小さな総合大学」ならではの多様性
私立の総合大学の場合、理工学部は他学部と離れたキャンパスにあるケースが多い。しかし、上智大学では四谷キャンパスに理工学部を含む9学部が集結している。「小さな総合大学」だからこその機動力は、理工学部におけるグローバル教育にも存分に発揮されているといえよう。
「同じキャンパスにあることで、教員間の連携や情報共有を図りやすく、文理融合型のカリキュラムを組むことができる。そのため、理工学部の学生も、他学部の開講科目やグローバル教育センター、言語教育研究センターが開講するさまざまな科目を受講することが可能なのです」(築地学部長)

さまざまなバックグラウンドを持つ学生や教員と接することで、異文化への理解を深め、グローバル社会の多様性を理解することができるのも「小さな総合大学」だからこその強み。理工学部には、その強みを象徴するコースがある。それが、すべての講義、実験、研究指導を英語で行い、世界各国からの留学生が集う英語コースだ。12年秋学期から物質生命理工学科の「グリーンサイエンスコース」と、機能創造理工学科の「グリーンエンジニアリングコース」が開設された。両者ともに英語で学位が取得できる。
また、13年秋学期からは大学院にも英語ですべての教育が受けられる「グリーンサイエンス・エンジニアリング領域」を設置。学部と大学院の両方で英語での教育体制を整えた。ゼミでは日本語と英語が混在して飛び交うのが当たり前で、日本人学生も英語コースの留学生と接しているうちに半日常的に英語が使えるようになるという。
「英語コースは、今年9月に初めての卒業生を5名輩出しました。うち3名は本学の大学院へ、2名は外部の大学院に進学しています。さらに、今年は初めて博士授与を行い、タイ出身、インド出身の2名の学生が博士号を取得しました。その他、エチオピア出身、コロンビア出身の学生2名が博士前期課程を修了し、修士号を取得しています」(築地学部長)
密接なコミュニケーションの中で
引き出される学生の可能性
ダイバーシティと並んで上智大学の特色ともいえるのが少人数教育だ。特に理工学部では、学生3~4人につき1人の教員が卒業研究の指導にあたり、私立大学ではトップクラスの少人数教育体制を実現。学生と教員の距離も近い。
親身かつきめ細やかな指導は、学生の意欲を後押しし、目に見える成果をもたらしている。一例として挙げられるのが、講義を通じた特許の取得だ。16年9月には、物質生命理工学科3年の片山玲大さんが、理工共通科目「知的財産権」の受講を通じて発明した「多機能ダンボールカッター」で特許を取得。これは、ダンボールを簡単に切断して再利用できるカッターで、従来のものより利便性が高く機能的に優れている点が特許のポイントになった。「知的財産権」の講義では、知的財産制度や法律を学ぶだけではなく、問題点の解決や理想とする技術の実現を課題として設定しており、片山さんは実際にダンボールをカットする作業をみずから体験するよう教員からアドバイスを受け、その過程で新たな課題に気付いたのだという。

上智大学の教育体制は産業界からも注目を集めている。近年、企業との産学連携が急速に進んでおり、14年秋には世界的自動車メーカーのボルボ・グループと産学教育連携協定を締結。国内外のボルボ・グループ研究施設や工場においてインターンシップが行われている。研究の面においても、日産自動車・トヨタ自動車をはじめとした多様な企業との受託研究を通じ、新たな技術開発に挑んでいる。国内外のグローバル企業からの引き合いがあるのは、教授陣や学生たちの高い評価の裏付けでもあるだろう。
2017年に理工学部は創設55周年を迎える。ますます複雑化、多様化する社会のニーズに応えるべく、「理工ソフィアン」は進化を続けていく。