東洋大学

グローバルに活躍できる人財を育成するには

東洋大学

東洋大学は、1887年に井上円了によって「私立哲学館」として創立された、約130年の歴史を持つ総合大学だ。哲学を建学の理念とする唯一の私立大学で、近年ではオリンピックでの水泳、陸上、そして駅伝などスポーツ分野での輝かしい実績を残している。一方、2014年には、わが国社会の国際化を牽引する大学を重点支援する事業、文部科学省「スーパーグローバル大学創成支援」のグローバル化牽引型に採択され、グローバル人財育成の取り組みを加速している。「世界で存在感のある大学へ」と題したこの企画では、グローバルに活躍できる人財に求められる能力、その育成のために大学や社会がどう取り組むべきかについて、全6回の連載を通して明らかにする。第1回は、日産自動車COOとしてカルロス・ゴーンCEOとともに日産自動車の復活に手腕を発揮し、現在は同社取締役副会長で、官民ファンド・産業革新機構会長兼CEOを務めている志賀俊之氏を招き、竹村牧男学長と対談いただいた。
左から東洋大学・学長・竹村牧男氏、産業革新機構・会長兼CEO・志賀俊之氏

志賀 日産自動車は1999年の仏・ルノーとの提携以来、トップをはじめ社内に外国人が増えました。そこで気になっているのは、以前は日本人が担ってきた主要ポストが外国人に占められていることです。日常的に海外と仕事をするようになれば、企業はよりレベルの高い即戦力となる人財を求めるようになります。大学であまり勉強せず、サークル活動やアルバイトに精を出す従来型の日本人学生が、このままでは学生時代に懸命に専門性を高めてきた外国人学生に遅れをとるのは必至です。私が委員を務める中央教育審議会(中教審)でも、以前からこの問題を訴えています。

竹村 2012年の中教審答申「新たな未来を築くための大学教育の質的転換に向けて」を受け、本学でも双方向型や参加型のアクティブ・ラーニングを多く導入し、グループ学習のためのスペースを図書館に設けるなど、より主体的な学修を促す取り組みをしてきました。グローバル時代への対応では、民間英会話学校の協力で授業以外でも学生に英会話レッスンの機会を提供するなど、英会話力の向上を図るとともに、異文化への柔軟な対応力を磨くために、各学部単位でも教員が学生に同行して海外研修を行うなど、グローバルリーダー育成に努めています。来年度からは、国際地域学部を国際学部に改め、開発支援やビジネスなどを通じて地域の発展に貢献しうるエキスパートを養成する国際地域学科のほかに、グローバル・イノベーション学科を新設します。グローバル・イノベーション学科は、学生の約3割を留学生とし、日本人学生は1年間の海外留学が必須、授業を原則英語で行い、国際社会のシステムを変革できるような高度なグローバルリーダーの育成を目指します。

産業革新機構
代表取締役会長(CEO)
志賀俊之
1976年日産自動車入社。ジャカルタ事務所長、企画室長、アライアンス推進室長などを経て2000年常務執行役員、2005年最高執行責任者(COO)・代表取締役、2013年副会長。さらに2015年から現職

志賀 グローバル人財には3つの力が求められると考えています。一つは、多様性に対する「共感力」です。日本人同士は考え方に関する共通のベースがある反面、考え方のベースが異なる外国人に対しては壁を作りがちです。しかし、ブラジル生まれで、フランスで学び、日本とフランス、米国などで仕事をする日産自動車のカルロス・ゴーンCEOは、異なる考え方を理解して受け入れようとします。これが「共感力」です。

また、外国人との会議では、日本人は聞き役に回りがちですが、それでは実際の仕事でも脇役になってしまいます。もっと自分の考えを伝える「表現力」を発揮すべきです。そして、日本が得意とする持続的な改善のほかに、ブレークスルーを引き起こす「革新力」も必要だと思います。

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