テレビ局の敵か味方か、ガラポンTVの衝撃 過去90日の全番組、スマホでいつでもどこでも

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一定時間すべて録画したテレビ番組を、スマートフォンでいつでもどこでも見られるようにする録画機「ガラポンTV」が、テレビ業界でひそかに話題を集めている。総世帯視聴率低迷に悩むテレビ業界にとって“台風の目”となる可能性を秘めているからだ。テレビの前から視聴者を奪うテレビ局の敵か、あるいは味方か――。開発したベンチャーのガラポン株式会社、保田歩社長が語った。
保田歩●やすだ・あゆむ
慶應義塾高等学校、慶應義塾大学文学部を経て2001年4月にシステム開発会社入社、Webシステムのエンジニアとして勤務。趣味で始めたアパレル商品企画・販売事業を創業し、事業売却。04年ヤフー株式会社入社、新規事業の企画立案に従事。「テレビ向けヤフー検索」や「フォトアルバム」「動画サービス」新設に携わる。10年3月ガラポン株式会社創業、社長就任。

――ガラポンTVの仕組みを教えてください。

関東ではNHK、NHKEテレ、日本テレビ、テレビ朝日、TBS、テレビ東京、フジテレビ、TOKYO MXと8局の全番組が90日分自動保存され、保存された番組の中から、検索機能を使って見たい番組を呼び出せます。番組名だけでなく、番組内の字幕情報から呼び出すこともできるので、気になる言葉やはやりの飲食店名などをヤフー、グーグル検索するように番組検索して情報を集めることができるわけです。たとえば、「ベンチャー企業」で検索し、検索結果から見たい番組を選ぶと、番組の中でベンチャー企業が登場する場面から再生が始まります。

――大手メーカーが販売する「全番組録画機能付きHDDレコーダー」と同じようなものと考えていいのでしょうか?

地上波放送テレビ番組を一定期間すべて録画するという機能は同じですが、決定的に異なる点があります。大手メーカーの録画機は「テレビ」という端末で録画した番組を視聴することに重点を置いて作られています。一方でガラポンTVは、「スマホやアイパッドなどのタブレット端末、パソコンからインターネット経由で」視聴することを前提に作りました。そのため、“地上波放送をモバイル端末で見るために存在”するワンセグを録画します。ワンセグですから、ガラポンTVで録画した番組をテレビで見ると画質は通常より劣ります。ですが、データ量の軽さは携帯性、移動性を重視すると必須です。

ネットを敵とせず味方につける

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ガラポンTVの仕組み

――商談先に向かう電車の中のすき間時間を利用した視聴で情報収集するなど、ビジネスシーンでの活用もできますね。ただ、テレビ離れが進んでいる現状を考えると、番組録画機にどの程度のニーズがあるのか疑問です。

打開策は、「テレビ番組は面白いから見ないのは損だ」と多くの人に実感してもらうことだと考えています。現代社会は、生活スタイルや価値観が多様化していて、学校や職場でひとつのテレビ番組の話題で盛り上がるということが少なくなりました。インターネットに客を奪われていると感じたテレビ局は、ネットを敵だとみなしていた時期がありましたが、今はネットを味方につける方向に進んでいます。

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