AI時代が到来!将棋も産業もこう激変する 羽生善治vs松尾豊「鍵はディープラーニング」

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AIがもたらす未来の可能性について、両者の議論は盛り上がった

羽生:それは逆に言うと、そういう疾患を持った人を補佐するものを作ることができれば、治療できる可能性が出てくるということですよね。

松尾:そうなんです。そうなんです。人間の脳について、マクロの挙動までは分からなくても、工学的に「こうすれば上手くいく」と分かってくると、ある程度解釈できる可能性を広げられると考えています。

羽生:ディープラーニングの用途開発については、日本は出遅れているのでしょうか?

松尾:出遅れています。ですが、たとえばディープラーニングで動く調理ロボットを、“日本品質”で調理ができます、世界のどこでも日本食を食べられますと売り込んだら、めちゃくちゃ需要はあると思います。これは、ロボットを作れて食べ物がおいしい国じゃないとできませんから、日本は得意なはずです。

自動車産業以上に大きくなる可能性

羽生:世界中に回転寿司を作るっていうことですね、目指すは(笑)。

松尾:そういうことです。ロボットはどんどんレベルが上がるはずで、そうなると見本は銀座にある三つ星のお店などにできます。そこから学んだノウハウを回転寿司に入れて、どんどんおいしくすることができるのです。

日本の農業もレベルが高いですから、それを機械化して、海外へ持って行くことができれば、自動車産業以上に大きい産業になる可能性を、秘めているのではないかと感じています。

(撮影:今井康一)

岡本 享 東洋経済 記者

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おかもと とおる / Tohru Okamoto

一橋大学社会学部卒。機械、電機、保険、海運業界などのほかマーケットを担当。2013~2015年『会社四季報プロ500』編集長、2016年「決定版 人工知能超入門」編集長、2018~2019年『会社四季報』編集長。大学時代に留学したブラジル再訪の機会をうかがう。

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