日本株買いに動く「外国人投資家」の正体 ジワジワ来ている流れは本物になるのか

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オイルマネーが日本株買いに動いているかどうかは定かではない。実際、判明するのもかなり後になるかもしれない。市場がオイルマネーの存在を確信したタイミングでは、ひょっとすると、オイルマネーによる買いは一巡している可能性もある。

ただ、オイルマネーによる日本株買いが一巡しても、すぐに値が崩れるような事態は回避されそうだ。それは、オイルマネーの資金が短期的な売買ではなく、投資期間を中長期で見ているケースが多いからだ。

外国人投資家が「買い越す余力」は十分ありそう

「日経平均1万7000円の壁」を上抜くようなタイミングで、外国人投資家による日本株買いが増えたことは、次のステージに進むサインのように捉えることもできよう。

東証1部の売買代金がさほど増加していないことから、足元の上限突破を懐疑的に見る動きはあるが、相場の地合いが変わりそうな雰囲気は伝わってくる。今後の展開として、取引時間ベースでの4月戻り高値1万7613円を上抜けられるかが、一つのポイントになりそうだ。

プロの間でも素人の間でも、「次の戻りの節目」をどの水準と見るか、さまざまな意見があると思う。筆者は上記の「4月の戻り高値」が目先の重要な水準であると考える。

理由を示せばこうだ。日足ベースのチャートで確認していただきたいが、足元の日経平均は9月戻り高値をなかなかクリアできず、1万7000円手前でのモミ合いが続いた。

その水準を上抜いていることから、自然と目線は次の戻り高値に向かう。また、昨年6月24日の高値2万0952円から今年の安値である6月24日1万4864円(ともに取引時間ベース)の38.2%水準(いわゆるフィボナッチ数列(黄金分割比率を用いた数列で重要な数字とされる)が1万7189円である。これは週末の終値とほぼ同じ水準だ。

38.2%戻していることから、次のフィボナッチ数列で見ると、次に注目される水準は50%だ。50%水準が1万7908円となることから、その前の4月戻り高値1万7613円が目先のポイントとなるという流れだ。

外国人投資家は、今年の9月までに11週連続で売り越すなど日本株を約7兆円売っている。一方、10月に入っての買い越し額はまだ9500億円に過ぎない。単純な引き算では6兆円だ。6兆円全てと言わないまでも、外国人投資家が「買い越す余力」は、十分あると見ている。

田代 昌之 マーケットアナリスト

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たしろ まさゆき / Masayuki Tashiro

北海道出身。中央大学文学部史学科日本史学科卒業。新光証券(現みずほ証券)、シティバンクなどを経てフィスコに入社。先物・オプション、現物株、全体相場や指数の動向を分析し、クイック、ブルームバーグなど各ベンダーへの情報提供のほか、YAHOOファイナンスなどへのコメント提供を経験。経済誌への寄稿も多数。好きな言葉は「政策と需給」。ボラティリティに関する論文でIFTA国際検定テクニカルアナリスト3次資格(MFTA)を取得。2018年にコンプライアンス部長に就任。フィスコグループで仮想通貨事業を手掛ける株式会社フィスコデジタルアセットグループの取締役も務める。

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