ゆとり世代は、転職ブームに乗らない? 「3年で辞める若者」は復活するか

✎ 1〜 ✎ 37 ✎ 38 ✎ 39 ✎ 最新
拡大
縮小

仮に転職に興味が湧いたとしても、

「JR東日本のポテンシャル採用に応募した人に伺いたいことがあります!」

などと、ネット上の掲示板や質問サイトなどで情報収集を重ねて検討。それでも、そう簡単には動き出しません。学生時代に就職活動で苦労していますので、極度に失敗を恐れる傾向があります。周囲の動きを観察して、転職に成功した仲間が1人でも出てくれば、

「転職を決意した理由を教えて! それから、転職した職場での待遇も聞きたい」

と根掘り葉掘り聞いたりします。かなり保守的なのは間違いありませんが、将来に対する不安を「今の職場より」解消できそうな確度が高いと思えば、さすがに動きます。やはりコンサバな若者が動き出す要因となるのは、

・転職に成功した同世代のケース

です。少し前までは、若手社員が会社を辞めたい衝動に駆られても、青い芝生と思える転職の成功例に遭遇することはまれでした。ところが、実際に転職して昇給した、やりたい仕事が任せられた…と実例が増え始めています。転職サイトには第二新卒専用、あるいはポテンシャル転職などと命名されたコーナーが設置されて、そこには成功した転職事例がいくつも紹介されています。実際に見てみると、

《24歳でサービス業から証券会社に転職。 年収は1.5倍に増加》

《25歳で憧れのマーケティング業界にキャリアチェンジ》

現在の仕事に不満を抱えている若手社員にとっては「羨ましい」と感じられる成功例ばかり。もちろん、すべての人が転職に成功するわけではありませんが、慎重でありたいと考えながらも「今でしょ転職」と背中を押される若手社員が増える環境が整いつつあるのではないでしょうか。

さて、アベノミクス効果で求人倍率が上がり、魅力的なポテンシャル採用の求人が増えて、転職に成功した“仲間”が出てくると、「船に乗り遅れるな」とばかりに、職場から優秀な若手社員が出て行ってしまう(転職する)可能性が出てきます。職場に優秀な若手社員がいるのであれば、人材流出しないようにフォローを心掛け、職場環境の改善も抜かりなくしておくべきでしょう。

 


 

高城 幸司 株式会社セレブレイン社長

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

たかぎ こうじ / Kouji Takagi

1964年10月21日、東京都生まれ。1986年同志社大学文学部卒業後、リクルートに入社。6期トップセールスに輝き、社内で創業以来歴史に残る「伝説のトップセールスマン」と呼ばれる。また、当時の活躍を書いたビジネス書は10万部を超えるベストセラーとなった。1996年には日本初の独立/起業の情報誌『アントレ』を立ち上げ、事業部長、編集長を経験。その後、株式会社セレブレイン社長に就任。その他、講演活動やラジオパーソナリティとして多くのタレント・経営者との接点を広げている。著書に『トップ営業のフレームワーク 売るための行動パターンと仕組み化・習慣化』(東洋経済新報社刊)など。

この著者の記事一覧はこちら
関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT