森永製菓の「甘酒」が女性にバカ売れするワケ ブーム到来で百花繚乱、市場は100億円超え

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この結果、テレビの情報番組など、メディアでの取り扱いが大幅に増加。TwitterなどのSNS上でも「いい歳してニキビができたから甘酒飲んで寝よう」「ニキビ減ったし体調いいから甘酒続けたい」といった甘酒の美容・健康効果に関する投稿が多く見られるようになった。

市場全体の伸びを牽引するように、森永製菓の甘酒の売り上げは2009年から6年連続で増加、同期間で倍増した。冒頭の店員の言葉通り、「購入者の7割が女性」(会社側)だという。

清酒メーカーや飲食店も続々参入

スーパーの冷蔵コーナーにずらりと並ぶ甘酒。常温売り場にも置かれている(食品館イトーヨーカドー ららぽーと湘南平塚店にて記者撮影)

ブームを受け、大手の清酒メーカーも動き出している。人口減少や若者の酒離れを原因に、清酒の売り上げが伸び悩む中、急成長を続ける甘酒は垂涎の的だ。

月桂冠(京都)や大関(兵庫)、八海山(新潟)など、多くのメーカーも独自に甘酒の販売に乗り出した。

飲料メーカーだけではない。外食産業では、回転寿司大手「くら寿司」が2016年7月、甘酒をベースにした炭酸飲料の「シャリコーラ」を発売。夏バテ対策や美容・健康効果を訴求し、一時は販売休止に追い込まれるほどの大ヒットとなった。

用途はさらに広がる。料理に甘酒を加えると、コクが出やすい。東京新宿区にある「未来食カフェレストラン TUBU TUBU」は、砂糖などの甘味料のかわりに自家製の甘酒を、アイスやパウンドケーキの原料に用いている。レシピ投稿サイト「クックパッド」には、甘酒スムージーや甘酒ラテに加え、甘酒カレーや甘酒カルボナーラまでもが掲載されている。

家庭から回転寿司チェーンまで広がる甘酒ブーム。市場はどこまで拡大するか。森永製菓で食品のマーケティングを担当する田仲結子氏は、「テレビ効果で若者も飲むようになったが、依然として消費者の4割を50~60代が占める」と語る。

今後は、若者の需要をどれだけ取り込めるかが、成長のカギとなる。

中山 一貴 東洋経済 記者

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なかやま かずき / Kazuki Nakayama

趣味はTwitter(@overk0823)。1991年生まれ。東京外国語大学中国語専攻卒。在学中に北京師範大学文学部へ留学。2015年、東洋経済新報社に入社。食品・小売り業界の担当記者や『会社四季報 業界地図』編集長、『週刊東洋経済』編集部、『会社四季報』編集部、「会社四季報オンライン」編集部、『米国会社四季報』編集長などを経て2023年10月から東洋経済編集部(マーケティング担当、編集者)。「財新・東洋経済スタジオ」スタッフを兼任。

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