欧州エアバスが日本で逆襲する日 日の丸エアラインをめぐる、米ボーイングとの激しい攻防

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LCCや中堅勢に食い込み始めたエアバス

口火を切ったのが中堅のスカイマーク。同社ではボーイングとエアバスを併用している。中型機「A330」のほか、ジェット旅客機として初の総2階建てで、1機400億円もする大型機「A380」を6機購入。2014年11月から、JAL、ANAにとってドル箱である、成田―ニューヨーク線を飛ばす。

さらにLCC(格安航空)では、ピーチ・アビエーション、ジェットスター・ジャパン、エアアジア・ジャパンともに、旅客機はエアバス製である。国内短距離が主流のLCC勢は、いずれも小型機の「A320」シリーズを購入。実績はピーチ8機、ジェットスター10機、エアアジア4機という状況だ。ちなみに北九州が地盤の中堅エアライン、スターフライヤーも「A320」を所有。つまり、航空会社が後発になるに従い、エアバス比率が増えているのがわかる。

現在、エアバスが生産している機種は、小型機の「A318」「A320」などから大型機の「A380」まで、13種類。うち小型機は、減価償却も終わっているため「売れば売るほど儲かり」(業界関係者)、最も稼ぎ頭だ。LCC向けに機内の通路を広くし、客の乗降時間の短さが死命線であるLCCにも配慮。経済成長著しいアジアのLCCなどに引き合いが強い。

一方、ボーイングは「B787」を再開するとはいえ、バッテリー出火の原因が完全に究明されたわけではなく、利用者に少なからぬイメージダウンを与えたのは間違いない。LCCなどエアライン業界の地殻変動を追い風に、エアバスは日本市場でもボーイングの座を脅かすのか。航空機両雄の因縁の対決が火蓋を切ろうとしている。

詳しくは『週刊東洋経済』5月25日号の「沸騰!エアライン&ホテル」を、ぜひご覧下さい。

大野 和幸 東洋経済 記者

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おおの かずゆき / Kazuyuki Ohno

ITや金融、自動車、エネルギーなどの業界を担当し、関連記事を執筆。相続や年金、介護など高齢化社会に関するテーマでも、広く編集を手掛ける。

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