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なぜ"リーダー"はこの映画を観るべきなのか 夏野剛氏が語る『インフェルノ』に込められたメッセージ

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『ダ・ヴィンチ・コード』『天使と悪魔』など全世界で大ヒットを記録した、ダン・ブラウンのベストセラー映画化作品、その第3弾となる『インフェルノ』が10月28日に日米で同時公開される。14世紀、ルネサンスの先駆けとなった詩人、ダンテが著した叙事詩『神曲』の<地獄篇(インフェルノ)>。その地獄篇をモチーフに、同じくルネサンスの画家、ボッティチェリが描いた「地獄の見取り図」が、すべての始まりとなって、ロバート・ラングドンの謎解きが進んでいく。
「歴史の中に生じた謎解きから、現代を生きるわれわれが直面する危機を突きつけたダン・ブラウン史上の最高傑作だ」と語る夏野剛氏に、ビジネスパーソンがこの映画をどう見るべきかについて話を聞いた。

この作品のテーマは、世界の人口急増、さらにその先の人類の危機だ。このまま世界で人口が増え続ければ、食料は不足し、環境は破壊され、悲惨な未来が待ち受ける。それを食い止めるためには、地球の人口を減らさなければならない。そう考えた生化学者で大富豪のバートランド・ゾブリストは、伝染病を利用した人口淘汰を目論む。

慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科の特別招聘教授であると同時に、多くの企業の取締役・社外取締役を務める夏野剛氏は、『インフェルノ』の魅力を次のように語る。

「これは善と悪のストーリーなのか。それを今一度考え直してほしい。ゾブリストを突き動かすのは『世の中をよくしたい』という義憤。だからラングドン教授が善でゾブリストを悪とは単純に言い切れない。われわれ一人ひとりは彼を裁けるのか。そこがこの映画の面白いところだ」

夏野氏が注目したのはゾブリストが語る「1分前」というセリフだ。「人類の存在そのものが人類の滅亡をもたらす“1分前”まで来ているということを暗示しているゾブリストのセリフが心に響くのは、それだけわれわれが危機感なく生きているということなのかもしれない」

さらに夏野氏によれば、この映画はわれわれにもっと深いメッセージを投げかけているという。

「今、そこに迫る危機にどう対処すべきなのか。現状維持の先に未来はなく、今の幸せの延長が未来永劫続くわけではない――これは企業にも通じる。たとえば、会社が生き残っていくために、従業員をリストラすべきなのかどうかということと同じ。組織の将来と今現在の平和とで折り合いをつけるために、リーダーは何を選択すべきなのかが問われている。その意味で、すべてのリーダーに警鐘を鳴らす映画でもある。世界中のリーダーと呼ばれる人が考えるべきテーマであり、将来リーダーを目指したいという人にもぜひ観てもらいたい」

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