今どき東大受験には「非効率な勉強」が必須だ ノートを「開いて」持ってくる生徒は伸びる

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鬼頭:なるほど。骨太で自分の実力が出せる人間に育つということですね。ちなみに、伸びる子・伸びない子の特徴はありますか?

時田:ありますね。よく伸びるのは、「素直な子」それから「反射神経がいい子」です。素直な子は言われたことをすぐにやります、逆に素直じゃないと、一言目に「でも」とか「だって」を付けて、何かと人を否定する。反射神経がいい子は、会話のやり取りのラリーがうまいです。卓球とか、テニスみたいに。

鬼頭:ラリーがうまいと言うのは?

時田:私が何が言ったときに「分かりました」で終わるのではなく、「どうしてこれがこうなるのかわかりません」と自分の疑問点が言えるということです。次の日にまた「昨日ここを調べたら、次こういうところが分からなくなりました」とか。これらの連続作業が身に付いていると、自分は何ができて何ができないのか、正しく把握できます。

鬼頭:僕のイメージでは、素直じゃない子のほうが反射神経がよさそうなイメージがあるのですが。

ノートを「開いて」宿題提出する生徒は伸びる

時田:そのパターンもあります。批判ができる子は、裏を返せばいちばん勉強ができる子です。相手をただ否定するのではなく、「今言ったことって、こういう側面もあると思うんですけど」とか、「この例外の場合、どうしたらいいですか?」みたいに話すんです。本質を突こうとしているというか、ちゃんと理解しようという気持ちの強い子ですね。

それこそ教師側からしたら、ちょっと面倒くさいって思うようなタイプかもしれないんですが、私はこのタイプがいちばん伸びると思います。

鬼頭:なるほど。「分かった?」「はい!」だけのやり取りでは、自分で考えようとする姿勢にまだなってないということですね。

時田:興味深い点ですが、宿題を提出する時もノートを閉じたまま提出する子はあまり伸びない。社会人でもいますよね、レポートを書けと言われたから、とりあえず提出しました、みたいな。

鬼頭:いますね。〆切守れたからいいでしょ?みたいな(笑)。

時田:できる子は宿題提出の際、ノート開いて、必ず何か言うんですね。「先生、2番の問題、この流れが自分で書いていてよく分からなくなりました」みたいに。本人の学びたいという意志が、行動に現れている証拠です。

実際の試験の場でも、出題者のメッセージを読み取ろうとしている子は、自分の解法をちゃんと説明する答案を作ります。そうなると、採点者も甘くなる。「あ、この子、ここまでは分かったんだな。不十分だけど、ここまでは部分点をあげよう」とか。試験も人間対人間ですから、相手に「ここまで理解しましたよ」とか、「ここから先は分かりませんでした」というのをちゃんと報告できる子は、点数を取りこぼしません。たとえ字が汚くても、そういう子のほうが本番に強いです。

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