ランボルギーニがカーボンにこだわる理由 フェラーリと伍するスーパーカーの戦略

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9月16日、東京・明治神宮外苑にある聖徳記念絵画館の周囲はランボルギーニで埋め尽くされた。創始者であるフェルッチョ・ランボルギーニの生誕100周年とともに、スーパーカーの原点でもある名車ミウラの生誕50周年を祝うイベント「ランボルギーニ・ディ2016」が開かれたのだ。

この大掛かりなイベントのポイントは大きく3つある。超ハイパフォーマンスな限定モデルの披露、過去の名車の品評会、新たに表明したカーボンファイバー(炭素繊維)の取り組みである。

アジアで初めてお目見えした「チェンテナリオ」

「ランボルギーニ・ディ2016」の様子

目玉のひとつは日本ひいてはアジアで初めてお目見えした「チェンテナリオ」。今年3月のジュネーブショーで初披露された限定車だ。770馬力のV12エンジンを搭載し、最高時速350km以上で車両価格は175万ユーロと、日本円に換算してざっと2億円程度。ランボルギーニとしてまさしく最高峰の車種といえ、すでに上得意客向けに販売は終了しているという。

近年大きく伸びているハイパフォーマンスカーのセグメントだが、その中身は大きく変化している。かつてのようにインパクトのあるスタイリングや熟練工による手作りだけをセールスポイントにするワケにもいかなくなってきた。製造技術の進化により、小規模メーカーも高額な、ごく少台数を限定発売するというビジネスプランも成立するようになったのだ。パガーニやケーニグセグという年間数台から数十台を1億~5億円というとんでもない価格で販売するメーカーなどもその一例だ。

近年のフェラーリも一般モデルを2500万~4000万円台の価格帯で年間7000台ほど生産するとともに、限定モデルや顧客の注文に応じて作られる世界に一台だけのオーダーメイドモデルを含めた3つのカテゴリを持ち、これらに対抗している。ランボルギーニのチェンテナリオも同様の狙いを持っているといっていいだろう。

過去の名車の品評会であるコンクールデレガンスも開催された

ランボルギーニ・ディでは過去の名車の品評会であるコンクールデレガンスも開催された。これはフェラーリのクラシックカー部門と同様の機能を持つ「ランボルギーニ・ポロストリコ」のプレゼンテーションでもあった。

狙いは、現行のアヴェンタドールやウラカンの現行ユーザーや将来の顧客候補にミウラやカウンタックに繫がるイメージを沸き立たせること。つまり、クラシックカーの市場価値を上げることによりブランドの持つヘリテイジ(遺産)としての価値を上げ、それを新車のセールスにつなげるという狙いだ。この点、50年以上も前のクルマに億円単位の価格が付くフェラーリのクラシックカー戦略を意識しているように見える。

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