「.shop」ドメインを手に入れる 〜新ドメインはEC・小売業界の未来を変えるか〜
可能性のドメイン、誕生
2016年1月、世界のインターネットドメインを調整・管理する非営利団体〈ICANN〉にて、「.shop」ドメインのオークションが行われ、日本のGMOドメインレジストリ株式会社が落札した。いくつかのステップを経て、9月より順次一般登録が開始されている。
世界のドメイン売買大手であるドイツのSedo GmbH社によれば、今回新たに登場した「.shop」は、世界に約2,000以上存在するドメインの中で「最も潜在価値が高い*」と評されている。事実、このドメインのオークションには世界的に著名なECサイト運営企業がこぞって参加したのだ。
インターネットの世界は、普及から創造へと移行、つまり情報収集という初期段階を経て人間の生活の豊かさへ直結するツールとなっている。EC市場においては、世界規模で2015年に1.6兆ドルを超え、日本においては13兆円を超える拡大**を見せている。こうした背景からICANNは新ドメインの大幅な自由化を推進してきた。そして熱望されていた「.shop」が新たに生み出されたというわけだ。
「何屋さん?」「何の会社?」これが初見で分かるのはメリットだ。昨今のネット検索では、タイプイン(アドレスバーに直接URLを打ちこむ)するユーザーが増えているが、極力手間を省き、回答へ最短で直結する作業はユーザーの求めるところであり「.shop」というドメインの登場で、さらに目的への道が短縮される。小売業主にとっては、今回登録が開始された「.shop」を使えば、文字の組み合わせによって、世界でひとつだけの自店名を表現できることになるため、.comやjpに埋もれがちだった現状を変えることにもなるだろう。
**平成 27 年度我が国経済社会の 情報化・サービス化に係る基盤整備 (電子商取引に関する市場調査) 報告書より
ドメインを入手する。それは先着順だ!
さて、実際に「.shop」を手に入れるにはどうしたらよいか。
通常であれば、レジストラと呼ばれる企業、いわゆる「ドメイン登録サービス」で登録するのだが、今回は新しいドメインのため通常の手続きとは異なり、まず登録できる内容によってその期間が決まっている。(下表)
運営フェーズ | 実施期間 | 登録対象者 | |
---|---|---|---|
1 | 商標権者向け優先登録期間 | 2016年7月1日〜8月30日 | 登録文字列の商標保有者 |
2 | 先行登録期間 | 2016年9月2日〜9月26日 | どなたでも可能 |
3 | 一般登録期間 | 2016年9月27日〜 | どなたでも可能 |
多くの方が対象となる一般的なドメインを取得する期間は、9月から二段階で実施される。そして下表のように、希望のドメインを取得するための先行登録においては期間によって価格が設定されている。
開始 | 終了 | 登録料金 | |
---|---|---|---|
フェーズ1 | 9月2日(金)0:00 | 9月3日(土)23:59 | 3,270,000円 |
フェーズ2 | 9月4日(日)0:00 | 9月6日(火)23:59 | 1,300,000円 |
フェーズ3 | 9月7日(水)0:00 | 9月10日(土)23:59 | 320,000円 |
フェーズ4 | 9月11日(日)0:00 | 9月14日(水)23:59 | 130,000円 |
フェーズ5 | 9月15日(木)0:00 | 9月18日(日)23:59 | 67,000円 |
フェーズ6 | 9月19日(月)0:00 | 9月22日(木)23:59 | 34,000円 |
フェーズ7 | 9月23日(金)0:00 | 9月26日(月)*21:59 | 15,000円 |
日数が経過すれば、当然、欲しい文字列は先に取られている可能性が高い。値段にそれは現れており、取得する確立の値段ということもできるだろう。悩ましいことだが市場の原理だ。この価格差を考えると、人気が集まると予想される文字列は、早い内に獲得されるということになる。どうしても欲しい文字列を確保したいなら、早い登録期間に行動しなければならない。
先行登録期間が終了すると、あとは通常のドメイン取得と同じ流れになるが「お名前.com」では、全世界で一斉に行われる一般登録が開始されても自動的にいち早く申請し、希望ドメインの取得成功率を高めるサービスも行っているため、逃した方にはこの選択もあるだろう。
また、プレミアムドメインという特に人気が集まる文字列を、最初から分けて扱っている。そもそも大きな可能性を持つ「.shop」のなかでも、さらに価値のある文字は最初からプレミアム価格が設定されているのだ。
たとえば、「golf.shop」は1,320万円、「flower.shop」なら132万円といった具合だ。これらは、先行登録、一般登録予約などと違い、特別な価格で提供されている。興味のあるショップの方々は検討の余地のあるラインナップではないだろうか。
自らの存在を世界規模でアピール
「看板」をいかに知らしめるかで多くの小売業は悩んでいる。広告はもちろん打つ(ただし余裕があれば)、そしてSNSも活用する。しかし多くの力を割いてもなぜか反応は薄い。あらゆる手法で認知から売上拡大を目指すわけだが、もっとも基本的な超えるべきハードルは、小売業界の競合の多さだ。
この状況を特に理解しているのは商標を持つ大手だった。優先登録期間に.shopドメインを申請した商標権者は、世界的に有名なブランドたち。もちろん保護的措置による申請もあるが、ECへのさらなる注力や世界的店舗展開の可能性を考えていないはずはない。
.shopドメインを使って、オリジナリティを高めるだけで全てがうまくいくとは言えない。しかし、またとないこのチャンスに、もっとも基本的な看板の存在をドメイン名からアピールする存在に変えるのは最善の策のひとつと言えるだろう。
まずは「お名前.com」で先行登録の詳細を確認してみよう。