インバウンドで関西経済「再活性」への道筋 どないやねん?ポスト橋下の大阪・関西

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天神祭りでの外国人観光客。インバウンドは関西経済の起爆剤として期待されている(写真 :センメー / PIXTA)

インバウンドにまつわるニュースが毎日のように報道されているが、楽観・悲観さまざまな内容が飛び交い、語られる論調はめまぐるしく変化している。前回の本コラムでは、今後の関西経済の牽引役として期待できる3つの領域について紹介した。今回はその一つ、「インバウンド&ジャパンクオリティの輸出」の可能性について取り上げたい。

2003(平成15)年のビジット・ジャパン・キャンペーン開始、2007(平成19)年の観光立国推進法の施行などを起点として、日本は官民一体となって観光立国としての取り組みを強化してきた。

直近の「日本再興戦略」においても、観光・インバウンドは引き続き重要テーマとして位置づけられており、2016(平成28)年度の観光予算は前年比2.4倍の245.5億円だ。この間、訪日客数は2003年の521万人から2013年に初めて1000万人を突破(1036万人)。その後も1341万人、1973万人と急激に増加しており、2016年に入ってからも前年同月比20%程度の伸びを続けている。

安倍総理が議長を務める「明日の日本を支える観光ビジョン構想会議」は2016年3月、これまで目標としてきた「訪日客数2000万人」の達成が視野に入ってきたことを踏まえて、次の時代の新たな目標として「2020年4000万人、2030年6000万人」という大きな目標を打ち出した。すでにかなりの伸びを見せている訪日客数を今後5年でさらに倍増させるという非常に意欲的な目標であり、当初、専門家の間でも実現可能性を懸念する声が聞かれた。

三菱総合研究所(以下MRI)は、前回でも紹介したとおり2020年時点で訪日客数は3800万人に達すると予測しており、政府目標は十分に実現可能な水準であるとみている。ただし、それは、あくまで「それだけ多くの外国人観光客を受け入れるだけの環境・体制が整えば」の話である。

インバウンド成長を妨げるボトルネック

①空港の機能強化

リスク要因は、需要側というより供給側にある。成長を維持するためには、4つのボトルネックの解消がカギを握る。順にみていこう。

ひとつは空港の問題だ。世界各国の外国人旅行者数を入国手段別にみると、フランス、米国、中国、イタリアなど上位国の多くで陸路での入国がかなりの割合を占めている。日本は外国人旅行者数全体では世界16位だが、空路・水路での受入量としてはすでに世界トップ10入りをしている。

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