高畑淳子さんを責めても何も解決しない 性犯罪の加害者家族が直面する社会の圧力

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加害者のなかで性犯罪への動機が芽吹き、本人がそれを育て、何かきっかけがあれば行動化して女性への性暴力となって表れる。この過程において、家族はほとんど関与していない。

「高畑さんほど有名な人でなくても、事件の大きさによっては家庭にマスコミが押しかけ、いたずら電話が鳴り止まず、ネットに誹謗中傷が書き込まれる、といったことがよくあります。お仕事をされているなら離職を余儀なくされ、家族に不眠、自傷行為、抑うつ状態などが見られるようになる……社会生活がまったく送れなくなるのですから、明らかにケアが必要です」(斉藤氏)

同クリニックで行われている“母の会”では、息子の犯した罪に対して『これは息子の問題である』という認識を持てるようになることが加害者家族の自立のきっかけになる、と斉藤氏はいう。

高畑さんのキャリアはどうなるのか

「殺人や窃盗、薬物など犯罪と一言にいってもいろいろありますが、性犯罪はそのなかでも特殊です。加害者家族が集まるなかでも白眼視されるため、『息子が強姦致傷で逮捕された』『夫が小児性暴力の加害者で』と打ち明けられず、孤立することも多い。だから、私たちは性犯罪の加害者家族だけに特化して、支援の場を設けているのです」(斉藤氏)

多くの“加害者の母”の苦悩を知る斉藤氏は、高畑淳子さんの今後を案じ、「しかるべき支援につながって、同じ問題を抱えた仲間のなかで乗り越えてほしい」と願う。女優として一線で活躍し、その人柄でもってバラエティ番組にも引っ張りだこだった高畑さんのキャリアは、当人とは関係のないところで起きた事件によって水泡に帰してしまうのか。それは、社会が彼女を“母として”断罪し、引き続きの謝罪、反省を強いるか否かにかかっている。

三浦 ゆえ フリー編集&ライター

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みうら ゆえ / Yue Miura

富山県出身。複数の出版社を経て2009年フリーに。女性の性と生をテーマに編集、執筆活動を行う。『女医が教える本当に気持ちのいいセックス』シリーズや『失職女子』などの編集協力を担当。著書に『セックスペディア-平成女子性欲事典-』がある。

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