リア充投稿に「ひるむ人」に知ってほしい事実 楽しい時を強調するほど、幸福感はすり減る

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これは女性でも同じです。最近、「こじらせ女子」という言葉もありますが、自分の欲求をストレートに追求できずに、ちょっとオタク的な趣味に走ってしまった経験というのは、一見「リア充」とは真逆の方向のようですけど、意外に「リア充」に対して気後れしないための、支えになってくれたりするんです。

「リア充への気後れ」を解消してくれるのは、「リア充的な経験」の積み重ねではなく、むしろ「非リア充的な努力」によって自分の殻を突き破った経験なのだと僕は思います。そういう意味では、もしもあなたがリア充に心を揺さぶられ、不安を覚えているとすれば、それは「殻を破る」チャンスだと捉えてみるのはいかがでしょうか。

何も「エベレストに登る」とか「トライアスロンに挑戦する」といった高いハードルを超える必要はありません。本当に些細なことであっても、それまでの自分の人生の殻を破る体験は、あなたの心の芯に、自信を植え付けてくれます。

「人生の楽しみから阻害されている」と感じたら

あなたの本棚には、買ったまま一度も開いたことがない本が、一冊はあるはずです。あなたはなぜ、その本を開かなかったのでしょうか? 忙しかったから? 時間がなかったから? いろいろ理由をつけることはできると思いますが、心理的に考えれば、答えはひとつです。あなたの身体が、心が、無意識のうちに「殻を破る」ことを拒否しているのです。

リア充に触れたとき、もしあなたが「自分は人生の楽しみから疎外されているのではないか」と不安になったとしたら、それはチャンスだと思ってください。「気後れ」を生むのは、あなたの心の中に無意識のうちに設定されてしまった「限界」が刺激されたからです。

必要なのは、ほんの少しの勇気です。自分の殻を破るチャンスを逃さないように、何か一歩、自分の枠組みの外に足を踏み出してみてください。

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名越 康文 精神科医

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なこし やすふみ / Yasufumi Nakoshi

1960年、奈良県生まれ。精神科医。専門は思春期精神医学、精神療法。近畿大学医学部卒業後、大阪府立中宮病院(現:大阪府立精神医療センター)にて、精神科救急病棟の設立、責任者を経て、99年に同病院を退職。引き続き臨床に携わる一方で、テレビ・ラジオでコメンテーター、映画評論、漫画分析など様々な分野で活躍中。
著書に『心がフッと軽くなる「瞬間の心理学」』(角川SSコミュニケーションズ、2010)、『毎日トクしている人の秘密』(PHP、2012)、『自分を支える心の技法 対人関係を変える9つのレッスン』(医学書院、2012)、『驚く力 さえない毎日から抜け出す64のヒント』(夜間飛行、2013)などがある。
夜間飛行よりメールマガジン「生きるための対話」刊行中。オフィシャルウェブサイトはこちら。twitterはこちら

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