日本と海外、どちらで働くべきですか? 【キャリア相談 Vol.7】

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ちょっと視点を変えてみると、質問者の方の「人生の経験」として、日本に戻って日系企業に勤めてみるのは面白いかもしれません。

私が米系企業にいた際に、人生のほとんどを海外で過ごした日本人や日系人の同僚がいましたが、彼らはこのままでは日本に帰ることもないだろうから、米系企業に入社して東京オフィスで働いてみようと思った人たちでした。彼らは日本以外でも働くことはできたと思いますが、人生の経験を積むにはよかったのかもしれません。また、新卒で日系企業に入社すると浮いてしまうので、米系企業の東京オフィス勤務を選択したのかもしれません。

シニアになるほど「Know-Who」がモノを言う

企業が多国籍化する中で、米系、日系、欧州系といったくくりをすることは無意味になっていくと思われるかもしれませんが、どんな企業でも出自の国の「風味」は残り、アイデンティティになっているものです。

乱暴な言い方をすれば、その出自により欧州発の多国籍企業はコスモポリタンな文化を持つことが多いとも考えられます。個人として差別化できるスキル、たとえば会計や法律やファイナンスなどがあれば、国をまたいで仕事をすることができます。

私の米国大学院時代のずっと年下の友人は中国出身で米国の大学院を出て、卒業後はニューヨークで働き、その後はベトナムに移り、今はシンガポールで働いています。プロフェッショナル人材の間で、こうした場所を選ばない働き方は今後ますます増えていくでしょう。

その場合でもビジネスコミュニケーションにおける語学は基本として、そのうえで自分のエッジを何にするかだと思います。それはKnow-Howかもしれませんし、Know-Who、つまり人的ネットワークであってもよいでしょう。特にシニアレベルになっていくほどKnow-Who、すなわち「誰に電話をかけられるか」が重要になってきます。その人的ネットワークがグローバルであればそれはエッジになります。

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