トヨタ、円高で通期営業益予想1000億円減額、前提ドル102円に修正 4~6月期実績は15%減益に

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 8月4日、トヨタ自動車は円高の影響で2017年3月期通期の連結業績予想(米国会計基準)を下方修正した。写真は同社都内ショール無で2月撮影(2016年 ロイター/Toru Hanai)

[東京 4日 ロイター] - トヨタ自動車<7203.T>は4日、円高の影響で2017年3月期通期の連結業績予想(米国会計基準)を下方修正した。営業利益は前期比43.9%減の1兆6000億円となる見通しで、期初予想を1000億円引き下げた。

トムソン・ロイターの調査によるアナリスト24人の予測平均値は1兆9150億円で、会社側の修正値はこれを下回る。

英国の欧州連合(EU)離脱問題を機に急激に進んだ円高を受け、7月以降の前提為替レートを1ドル=100円、1ユーロ=110円に修正、通期で1ドル=102円(期初は105円)、1ユーロ=113円(同120円)に変更した。これにより、期初の営業利益予想に対し1850億円、前期比では1兆1200億円押し下げる見込み。

大竹哲也常務役員は会見で、為替前提を円高方向に見直したことが「下方修正の一番大きな要素」と説明。その上で「1000億円の下方修正にとどめたのは1150億円余りになる(原価低減などの)収益改善活動を積み上げた」結果と述べた。今後も「円高など厳しい外部環境が想定される」と指摘、「新興国は資源国中心に若干厳しさが続いている」ほか、「先進国も英国の欧州連合(EU)離脱問題もあり、若干弱含むかもしれない」との見方を示した。

通期の売上高予想は前期比8.5%減の26兆円(従来は26兆5000億円)、純利益予想は同37.3%減の1兆4500億円(同1兆5000億円)に減額した。「未来への種まきはぶれずにやる」(大竹氏)方針だが、通期の研究開発費も効率化を図るほか、設備投資と減価償却費は円高を反映し、いずれも期初見通しから100億円引き下げた。

通期のグループ世界販売計画は期初の1015万台を据え置いた。スポーツ用多目的車(SUV)などトラック系需要が旺盛な北米を288万台(同285万台)、欧州で95万台(同92万台)、アジアで147万台(同141万台)と計12万台上乗せしたが、原油安の影響で市場が低迷している中近東などその他地域で136万台(同148万台)と12万台減らした。

しんきんアセットマネジメント投信の藤原直樹運用部長は、通期予想の下方修正は想定為替レートの変更によるものであるため、「本業は堅調と受け止められ、評価される内容。1ドル100円の環境下で十分利益を出せる体力を持っている」とみている。

<4―6月期は5年ぶりの減収減益>

同時に発表した16年4―6月期連結決算は、営業利益が前年同期比15%減の6422億円だった。為替の影響で前年同期に比べ2350億円押し下げた。売上高は同5.7%減の6兆5891億円、純利益は同14.5%減の5525億円。4―6月期としては東日本大震災の影響があった11年以来5年ぶりの減収減益だった。

熊本地震の影響は8万台の減産要因になったが、在庫があったため4─6月期の販売では6万台の影響にとどまり、収益面では700億円の減益要因になった。年内には生産を挽回できる見通し。

*内容を追加しました。

(白木真紀、取材協力:長田善行 編集:山川薫)

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